まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

緋弾のアリアⅩⅢ 反撃の九龍

緋弾のアリアXIII (MF文庫J)

緋弾のアリアXIII (MF文庫J)

ストーリー
慣れない<一般人>の生活の中で自分の本質を悟り、一度は退学した武偵高にへと戻るキンジ。
バスカービルの面々を呼び寄せたキンジは、急襲を仕掛けてきた藍幇の本陣に乗り込むことを提案する。
修学旅行Ⅱを利用し、敵地・香港へとやってきた一行だったが……。



一般高校から、安心と安全の武偵高、もとい、危険と緊張の武偵高へと舞い戻った我らがキンジさん。うんうん、やっぱりキンジさんには火薬と硝煙の臭いが似合います。
FEWの真っ最中というちょっとありえないタイミングで武偵を離れようとしたキンジでしたけど、それで逆に武偵への志を深めることになったのだから、やはり彼は、この武偵という職業に何かしら運命づけられているのだろうと思わずにはいられません。
また、キンジさんのやる気上昇に合わせたかのように、ベレッタ社がスポンサーにつくだの、二つ名が検討されるだの、いよいよ彼に対する武偵界の評価も高まってきている様子。
本人は歓迎していないようですけれども、Sランク武偵にも負けないキンジの活躍ぶりがついに日の目を見ることになるのかと思うと、胸が熱くなります。
どれだけ強くなっても「上には上がいる」を繰り返してきたキンジですが、長い間上り詰めてきたおかげで、少しずつ、その上の層も薄くなってきているのではじゃないでしょうか?


チーム・バスカービル、香港へ。考えてみれば、海外が舞台になるのは海上でのシャーロックとの戦いを除けばこれが初めてですか。
国内ではさんざん暴れまくっているし、外国からやってきたキャラもたくさんいる中、意外といえば意外ですね。
それにしても香港、楽しそうな町です。建物や料理なんかもちゃんと描いてくれるから、こちらまで旅行に出かけたくなってしまう。
海外なんて慣れっこのアリア・理子・レキ組と、初海外のキンジ・白雪組との反応の違いが愉快ですね。そして表紙に抜擢されておきながらシンガポールに行っちゃったジャンヌさん……うっ、目から汗が。
しかし、こういった場になって改めて、アリアが大金持ちの貴族なのだということを実感させられました。
いくら貴族といっても、家のお金をここまで自由に使えるものなんですかね。そう考えると、遣っているお金自体は、アリア自身が武偵の仕事で稼いできたものなのかもしれません。もちろん、一流ホテルを予約できるコネとか、そういったものは貴族ならではなんだろうなとは思いますけど。


ああまったく、何やってるんですかキンジさん。せっかくやる気を出したのに失敗続きで八つ当たりなんて、らしくもない。
大切な女の子との格差を目の当たりにして寂しくなってしまったんでしょうか。気持ちは分からないでもないですが。
そりゃあ、嫉妬にまかせてボカスカ殴ってくるアリアも悪いですけど、いつものキンジならそんなの笑って受け止められるはずなのに。
それよりも、キンジがいなくなった間ずっと心配して探し続けていたのに、ようやく見つかったキンジからこんな風に辛辣に当たられたアリアの気持ちを思うと、胸がきりきりと痛んできます。ディナーだって、楽しみにしていたんでしょうに。
キンジも、いい加減に素直になることを覚えたらどうですか。アリアの想いにだって本当は気付いているんじゃないんですか。
ずっと引っ張り続けてきたけれど、そろそろ本格的に、アリアが可哀想に思えてきました。一度答えを出してみてはいかがですか。


恋愛方面ではちょっとばかり格好悪いキンジさんですが、来たる猴とのバトルではさすがの格好良さ。
橘花や絶牢が基本の戦いってどういうことなの。ほんと、ヒステリアキンジさんは一足飛びに成長していくなあ。
最強の敵として相対する猴にも、色々と背景があるようですね。キンジなら、きっと彼女のことも救ってくれると信じています。
今回は上下巻構成の上巻ということで、また一番いいところで次に続いてくれました。まあ別に上下巻でなくても、一番いいところで続くのは毎度おなじみのことなんですが、何度やっても慣れることはないですね!
しかも次の巻は短編集で、本編が進むのはさらにその後とか。もはや読者いじめとしか思えない悪の所業。
特に今回はアリアとの確執が解決されないままですから、いやはや、こんなもやもやを抱えたまま、新刊が出るのを今か今かと待ち続けることになるのですね。このまま半年くらい経ったらもうなんか悟りとか開けちゃいそうですね。
本編の続きはもちろん、短編集の方も楽しみです。ああ待ち遠しい。


白雪が怖い。本気で怖い。うかつに手も繋げない……。