まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

双界のアトモスフィア2

双界のアトモスフィア 2 (富士見ファンタジア文庫)

双界のアトモスフィア 2 (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
ヴァルハラ皇国から皇女アイリスがやってきて一週間が経った。
姫也が朝目を覚ますと、部屋の中に見知らぬメイドさんの姿が。
ノイル・アテンドと名乗った彼女は、アイリス付きの侍女らしいのだが……。



姫也、大いに悩むの巻。
といっても、前巻でも大いに悩んでいたような気がしますね。どれだけ悩めば気が済むんだ。
戦闘描写は安定してます。1巻に比べると、少し盛り上がりに欠けるかなあというところですが、戦闘に割いているページ数の問題でしょうか。
夕がやたら格好良かったけれど、ヱーファが飛ばなかったのはちょっと残念です。
それから、これはもう単純に文章自体のことなんですけれども、読点の使い方が少々独特だということに気付きました。1巻のときからこうでしたっけ? 正直ちょっと読みにくいかも。


お悩み主人公・姫也。そしてその横で同じく悩んでいるヒロイン・アイリス。なんだこのめんどくさいカップル!
こんなふたりが揃っていたら、周りの人はめちゃくちゃ気を遣いそうです。現に今回も、周りからアドバイスされまくっていたようですし。
大きすぎる力の使い方とか、力が制御できないこととか、悩む理由はもっともなことなんですよね。
ただ、悩みの解決手段が結局、ふたりでぶつかり合うこと、もしくは、一緒に戦うことだけになってしまっているような気がします。そんな単純な悩みだったっけ? まあ、本人が悩んでいないのならそれでいいのかもしれませんが。
とりあえずふたり一緒にいれば万事解決というのも、清々しくてそれはそれで好きなんですよ。ただ、アドバイスのし甲斐はないでしょうね……。
結局、たくさんキャラクターは出てくるけれど、この物語はあくまで、姫也とアイリスのための物語だったということなのかもしれません。
そんなことを考えながら表紙イラストを改めて見てみると、実に素晴らしい。読み終わってから気付いたんですけど、さりげなく手を握ってるんですね! 公然といちゃいちゃしちゃってもう!


どうしてでしょう。敵が小物臭い。前回のトーラーも、途中から急にその辺のチンピラみたいになっちゃって、唖然としてしまったものですが。
トーラーに比べればましにしても、なぜかこう、敵側が勝つビジョンがまるで見えないんですよねえ。
最初は「これでもまだ遊んでるんだよ」という感じで、強そうな切り札を隠しているように見えるので期待してしまうのですけれど、肝心のその切り札が全然強さを発揮できずにやられてしまうので、結局最後まで弱いままだったという印象ばかりが残ります。
「大人は全体的に雑魚」のイメージが付き始めていますけれども、東学園長はただのこけおどしではなく、本当に最強クラスの人物だと信じていいのですよね? もしくは最後の希望の星たるアーデ先生でも構いませんが。そういえばあの人、今回は戦闘に参加してませんでしたね。
それから、敵に関してなのですが、アイリスの身の回りの人から裏切り者を輩出するのはもうやめてあげてくれませんか。いい加減、彼女が可哀想に思えてきました。こんな危険人物ばかり皇家の近くに侍らせて、よくやっていけるなヴァルハラ皇国。
意外っちゃ意外だったし、それなりに驚かされたことは確かですが、正直残念感の方が大きいです。魅力的なキャラだったのになあ。


ふたりとも悩みを乗り越えて(保留して?)、一応先へと進むことができたんですかね。
もしかしたら、これからはふたりで戦うことが増えていくのかもしれません。楽しみ。
恋愛面では、アイリスの方が押せ押せで姫也は無頓着なのが気になります。もっと自分の近くにいる女の子の魅力に気付くべきですね。
さらなるいちゃいちゃを期待しております。個人的にはゼナイドとの本格的な三角関係に発展するのもアリ。


トマスはもっと評価されてしかるべき人材だと思います。