まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

放課後バトルフィールド(1)

ストーリー
口が悪いが美人の同級生・九段下ホマレに呼び出され、野外活動部に無理やり入部させられた牧島カヲラ。
その日からカヲラは、異空間で行なわれるサバイバルゲーム放課後バトルフィールド』に参戦することになる。
部員を勧誘するように言われ、桜の下で出会った美少女・断花ユーリを反射的に誘ってしまったカヲラだったが……。



弓弦イズル先生の新作。美少女に囲まれてちょっと特殊なサバイバルゲームサバゲー)をするお話。
ページ数も多くないし、文章自体も読みやすいので、さらりと読めますね。
サバゲーというのは、銃にBB弾詰めてガンガン撃ちあうあれ。正直私は興味がないんですけど、全く知らないジャンルだけに新鮮でした。
自分の好みの性能の銃を選んだり、それぞれ役割を決めたり、わいわい楽しそうにしているのを見ると一度やってみたいような気も。
まあ、ユーリクラスの美少女に誘われたらやってもいいかな! 幻想でしたねすみません!


ヒロイン陣がなかなかに可愛らしかったです。
メインヒロインは九段下とユーリと、どちらなんでしょうか。個人的にはもちろんユーリ推し。九段下は、まあ。
ユーリは、トイガンどころか水鉄砲さえ撃ったことがなさそうな純粋培養お嬢様っぷりがいいですね。腰を引かせて、おっかなびっくりトリガーを引くんでしょうねえ。彼女になら撃たれるのもアリですね!
パッと見とげとげしい態度で、でも実は面倒見の良い後輩・クルルや、分かりやすくブラコンでツンデレ入ってる妹のサクヤも魅力的でした。
しかし、ちょっと気になるのは、ヒロイン全員、落ちるのがあまりに早すぎるような……。
いや、別に早くてもいいんですけど、せめてカヲラのことを好きになるきっかけみたいなものがあってほしいかなと思います。
ユーリに関しては、一目惚れという線もなきにしもあらずですか。クルルは餌付けされた? 九段下あたりはもはや、気付いたら落ちてたという感じ。
カヲラさんはよほどのイケメンのようですね。勉強ができて料理も家事もできてイケメンでって何その超人。まあ、主人公ですからね(全て解決)。


肝心のサバゲーですが、日常パートにページを割いている分、ちょっとボリューム不足ですかね。もちろん日常パートも重要なんですけど。
お金を稼げたりとか、個別にスキルが設定されていたりとか、せっかく特別な設定が用意されているので、もう少しそのあたりを深く掘り下げてほしかったです。今のままだと、別に放課後BFでなくても、普通のサバゲーでいいんじゃないかと思えてしまうんですよね。
あっさり流されちゃってますが、異空間が舞台だということ自体が明らかにおかしなことですから、多分、裏に何かあるんじゃないかなと思うんですけれども。
ああ、アタッカーとライフルマンとガンナーの違いもいまいちよく分かりませんでした。さすがにスナイパーだけは分かりましたけど。
役割別の戦略立てや、スキルを応用した戦い方など、ゲームに合わせて作戦を立てるのも面白そう。
とはいえ、まだカヲラもユーリも、ついでにアリトも初心者ですし、これからどんどん高度な戦い方ができるようになっていくのかもしれません。


他作品のパロディネタをやっておいてわざわざ元ネタを紹介しちゃうというのは、はっきり言ってかなり回りくどいですね。テンポも悪いし。
ふたつみっつなら、主人公が漫画好きだとか、そういうキャラ付けの一環とも捉えられるけれど、これだけあるとちょっとなあ。
知らないネタにも気付かされるので、分かりやすいっちゃ分かりやすいんですけどね。受け止める側の人によるのかも。
ともあれ、まだ物語は始まったばかり。サバゲーも恋愛方面も、これからぐいぐいと面白くなっていくことを期待しています。
願わくは、今回ほとんどいいところのなかったアリトに光を……。


イラストは美和美和さん。カラーピンナップは雰囲気が出ていて良かったです。
モノクロイラストは、もう少し表情に変化が欲しいかも。


ワー●マンにだけ伏字が入っていたのはいったい……。