まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

織田信奈の野望6

織田信奈の野望 6 (GA文庫)

織田信奈の野望 6 (GA文庫)

ストーリー
強敵・武田信玄との対決を辛くも凌いだ織田信奈と家臣団。
ところが、今度は猫を崇拝する大坂の本猫寺が織田家に反旗を翻す。
広範な影響力を持つ彼らとの対決を避けるため、本猫寺に乗り込んで和睦交渉に臨む良晴だったが……。



ここのところ全体的にシリアス色が強かったのですけれど、ここにきて一気にギャグ方向にシフトチェンジ。
それどころか、漫才に南蛮蹴鞠に冥土服にと、戦国時代はいったいどこに行ってしまったのという具合でした。扉絵とかね、もう何事かと。カオスのひと言です。
いや、半兵衛ちゃんがやたら可愛かったので私は別にいいんですけどね。べ、別に猫耳冥土服が好きなわけじゃないんですよ。ほんとですからね?
それから長秀さん。その恥じらいは卑怯です。破壊力満点でした。なぜ長秀さんの猫耳冥土服イラストがないのか問い詰めたいところですな!


クリスマスの一件でたがが外れたのか、信奈が完全にデレモードへと突入いたしました。
これまでがこれまでだっただけに、こんな素直な顔を見せられると、もう可愛くて可愛くて仕方ないですね!
他の人がいるところではいちゃいちゃできないから、誰も見ていないところで、というのがまたなんとも。いやらしい! いやらしいです相良先輩!
しかし、晴れて相思相愛の仲になったとはいえ、身分の差は未だ歴然としていて、公にくっつくことはまだまだできない様子。
長秀さんみたいに、全てお見通しながら密かに応援してくれるような人ばかりなら良かったのかもしれませんが、信奈にとっては残念なことに、織田軍には十兵衛ちゃんがいたのでした。
いえね、十兵衛ちゃんもめちゃくちゃ可愛いと思うんですよね。ただちょっとだけ、こう、場の空気を読むことができないだけで……。
良晴の気持ちが自分に向いていると信じ込んでいるだけに厄介です。かといって信奈との関係を明らかにするわけにもいかず、八方塞がりの状況ですね。
信奈も十兵衛もとことん負けず嫌いだから、放っておくと大変なことになってしまいそうで怖い。既にそうなりかけているような気もしますけど。具体的には安土城とか。


フロイスちゃんはできる子。そう、漫才だってやればできる子。
信奈と十兵衛ちゃんとの板挟みにあって疲弊した精神を、その包み込むような愛情で癒してほしいと願うことに、どうして問題があるでしょうか。いやない。
と、まあ自分の本能に従ってスケベな視線を送りまくっている良晴ですが、なんだかんだで一線を踏み越えないあたり、信奈に対してそれなりに誠実なんでしょうね。
むしろフロイスちゃんの方が揺らいでいる可能性が高いくらいです。修道女さえも落としかける良晴さんのジゴロスキルたるや……もうこれで天下取れちゃうんじゃないかな。
なんてったって、信奈と本猫寺の戦いの理由が、いつの間にか良晴が人質になるかどうかになっちゃってるくらいですからね!
漫才だの南蛮蹴鞠だのに関しては、正直ノリがよく分からない部分もありつつ、戦よりは平和的でずっと良い解決法だったのではないかと思います。
個人的には長秀さんの漫才が好きでした。ううむ、最近やたら長秀さん押しになってる気がします。普段ソツのないお姉さんであるだけに、ちょっと抜けたところを見せられると、ぐっときてしまいますよね。
蹴鞠は、まさかの征夷大将軍どのの参戦に笑ってしまいました。せっかくの見せ場がやってきたと思ったらこれですよ。
まあ、そもそも史実ではとっくにこの世にいないはずの人ですし、イラスト付きで出番があっただけでも十分だったとも言えますか。


なんとも気になるところで次巻へ続いてくれました。十兵衛ちゃんがここで来ますか。ほんと油断のならない天才ですねえ。
信奈と十兵衛ちゃんが争うとなると、どうしても脳裏にちらつくのが本能寺の変。うまいこと避けられるとよいのですが。
武田軍・浅井朝倉軍との戦いの結末、そして良晴たちの三角関係もさることながら、今回も少しだけ触れられた、信澄と長政のはかない恋の行く末に注目です。


千利休がまた凄いキャラに。