まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

アクセル・ワールド12 ―赤の紋章―

アクセル・ワールド12 ―赤の紋章― (電撃文庫)

アクセル・ワールド12 ―赤の紋章― (電撃文庫)

ストーリー
《ウルフラム・サーベラス》との対戦に辛くも勝利したハルユキは、再び《理論鏡面》アビリティの獲得に動き出す。
レーザー攻撃をしてくるエネミーを発見したというチユリに連れられ、ハルユキは無制限フィールドへとダイブする。
ところが目的のエネミーに出会ったところで、《チョコレート装甲》を持つ謎のアバターに出くわしてしまい……。



毎度ながらここぞというところで続いてくれた前巻のラスト。またここから長いのかと思いきや、サーベラスとの対戦自体は、嫌な感じの伏線を残しつつも意外とすんなり終わってしまいました。
こんなにあっさり終わるなら対戦の決着まで前巻に入れちゃって良かったのでは、とも思うけれど、まあ盛り上がったからいいか。
「なんでここで!」という続き方が、もはや様式美になりつつありますもんね。そのおかげで読者としては、毎回歯ぎしりしながら次の巻を待つことになるわけですが……。


全身がチョコレートで覆われた新アバター《ショコラ・パペッター》が登場。
あとがきによればアバターコンテストの入選作品らしいのですけれども、ただのゲストに留めておくにはもったいないキャラでした。
お嬢様っぽい口調だから一見お高く止まっているように思えて、実は物分りもいいし、優しいし、仲良くなったエネミーを守りたいという気概も持っている。
そして何よりそのチョコレート! まさか公式で合法的にペロペロされるキャラが登場するとは。これはペロペロせざるを得ない。
どうしてこう、川原先生は、こうも魅力的なキャラをポンポン出してこられるんでしょうね! まあその分、嫌ったらしいキャラもポンポン出てきてるような気がしますけど!
このショコラのエピソードは、おそらく彼女に合わせて挿入されたものなのでしょうけれど、しっかりと本筋の内容に関わってくる重要なお話になりました。
クロウのアビリティに関することはもちろん、あの《マゼンタ・シザー》が登場を果たしたことにも大きな意味がありますね。
レギオンマスターとして責任を取ろうとするショコラの悲痛な決意。八方塞がりになってしまったそんなショコラに、チユリからもたらされる一発逆転のアイデア
ひとつの短編として見ても大変わくわくするお話で、新登場のアビリティが乱れ飛ぶバトルを堪能させてもらいました。
シザーと、それから一緒にいた《アボガド・アボイダ》も、ISSキットをばらまく敵でありながら、どこか憎めないアバターでしたね。これからもたぶん、ハルユキたちに関わってくることだろうと思います。


遂に明かされる、黒雪姫による《赤の王》全損事件の詳細、そして黒雪姫と《白の王》との関係。
作中最大の謎でもある黒雪姫という人物の過去の一端が、ようやく示されることとなりました。
こうなってくると、やはり気になるのは《白の王》のことですよね。アバター名までが明らかになりましたが、未だ彼女は姿を見せていないし、まだしばらくは、ハルユキたちの前に姿を現すことはないのでしょう。
そもそも王どころか、白のレギオンである《オシラトリ・ユニヴァース》自体がほとんど謎に包まれた存在ですから、まずは対加速研究会の共同戦線で、そちらと関わることになるのかもしれません。
それにしても黒雪姫は相変わらず悩み多き人というか、いったいどれだけ暗い過去があれば気が済むんだという感じですけれども、今は隣にハルユキがいますからね。もちろん、楓子さんも謡ちゃんも、タクムもチユも。
圧倒的リーダーシップを持っていても、黒雪姫も(精神年齢はともかく)まだ中学生ですから。信頼できる仲間たちと一緒にゆっくり歩いていけたらと思います。


ああ、もう、またしても! なんで! こういう! 続き方なんですか!! いや、まあ薄々予想はしてましたけどね……。
まさかのタイミングでまさかのキャラが再登場してきました。これは燃える。めちゃくちゃ燃える。
クロウの新アビリティのこと、黒雪姫が伝え逃したこと、そして裏でうごめく加速研究会の影。
続きが気になりすぎて夜も眠れない勢いですが、「13巻は少し間があいてしまう予定」らしく、恒例の特報予告にも載っていない始末。どういうことなの。
首を長く、長く、長くして、ひたすらに待ちたいと思います。


あとがきの後に短編「空色の翼」が付録。お師匠様、そのお誘いはエロすぎます。