まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前)

クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

ストーリー
高性能AIを搭載し、ゲーム中のキャラクターと自然な会話ができると評判のオンラインRPG『クロスエデン』。
このゲームにハマった高校生・片山浩介は、ある時隠しイベントで出会った囚われの姫君・セシルに恋をする。
ゲームのキャラとはいえ姫を見捨てられない浩介は、彼女の救出作戦を立てるのだが……。



オンラインゲーム+ファンタジーもの。2ヶ月連続刊行ということで、いきなりの前編スタートです。
知り合いには「1巻は続けないで1冊で区切りをつけろ!」なんていう人も多いけれど、私自身は、1巻で次にお話が続いても気にしない方だと思っています。
でも今回ばかりは、一度話を畳んでから次に続いてほしかったかなあという印象でした。
なんといいますか、物語の根幹をなす部分に関して、謎や伏線があまりにも多すぎるのですね。
もちろん、そういった謎や伏線は、最終的な驚きやどんでん返しにつながって、物語を面白くすることに一役買うんでしょうが、ただ謎をめったやたらにばら撒けばいいというわけでもありません。
右を見ても左を見ても謎だらけで、何がなんだか分からなくなってしまっている状況。終盤は特に、読んでいて混乱してしまいました。
もう、謎を全部覚えているかどうかさえ怪しい。幸いすぐに後編が出てくれるので、そこで綺麗に解決してくれるといいんですけど。


さて、分かっている範囲で何が起こっているのか書きますと、つまりはお姫さまの救出劇ですね。
勇者は身分の差を越えてお姫さまと恋仲に落ち、命の危険にさらされたお姫さまを魔の手から救わねばならないのです! これは物語における絶対の理なのであります!
ゲームの中のキャラに本気で恋をしちゃう男の子って、ひいき目に見てもかなり痛い部類に入ると思うんですが、好きになっちゃったものは仕方ないですよね。好きなんだものね。
いえ、真面目な話、「クロスエデン」のようなリアルなRPGの中で、セシルのようなリアルなAIが相手だったなら、3次元の人間とさほど変わらずに恋ができてしまうのかもしれません。
それにしてもセシル王女は愛らしいですね。コースケにはもったいない。お姫さまが自分に惚れてくれるって、いくらラッキーイベントといえどラッキーすぎるのではないでしょうか!
まあ、コースケもそれなりに強い部類に入るらしいので、勇者の資格のようなものは意外と備えているのかもしれませんが。
でも近くにシュンみたいなのがいると、どうしても大したことないように見えてしまいますよね。天才の友人は大変だ。


よく分からないままにゲーム世界とリアル世界がクロスし始めて、な、なんですかこれは。
とりあえず、あっさりと“ゲームがリアルに入り込んでいる!”なんて本気で考えられちゃう瞬さんは、今回に限っては正しかったけれど、常識に照らし合わせると相当危ない人だと思います。本当に天才なんでしょうかこの人。凡人には理解できない世界だ……。
本当に謎と伏線が多すぎてどこから突っ込んだらいいのか分からない感じですが、いつの間にか重要キャラになっていたらしい篠崎さんの動向には注目していきたいですね。
色々忘れてしまわないうちに次の巻も読んでしまいたいところ。


イラストは村上ゆいちさん。ファンタジーキャラもいいけれど、それ以上にリアルキャラの描き方が好みでした。月渚ちゃん可愛い。
しかし、なぜ扉絵がこのキャラなんでしょうか。いや好きなキャラではあるんですけども。


もう月渚ちゃんがいればそれでいいか。