まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

疾走れ、撃て!7

疾走れ、撃て! 7 (MF文庫J)

疾走れ、撃て! 7 (MF文庫J)

ストーリー
富士山麓にてリヴァーナを守って戦った学生兵士として、メディアの取材を受ける理宇。
しかし、その裏には理宇を「英雄化」しようとする軍上層部の思惑があった。
一方、療養中だった虎紅とミヅキもようやく退院が決定し、全員揃ってのクリスマスパーティを開こうとする一同だったが……。



大きな戦いを生き延びて、多忙な紫神小隊も年の瀬に向けてひと休み。
でもダイダラ側からすればクリスマスもハッピーニューイヤーも関係なく、世界的には未だ殺伐とした雰囲気が立ち込めています。
それどころかダイダラが新兵器を投入してきたことによって、ますます戦いは激化。
なんかもう、人類がどんどん追い詰められてきているようにしか思えないんですが、大丈夫なんでしょうか。


モブキャラがやたら登場してきて、正直そろそろ把握できなくなってきました。
せっかく覚えたとしても、いつ命を落としてしまうか分からないから、これがまた……。
初登場の、視点が違えば主人公にでもなれそうな魔導士官があっさりとやられてしまうのを見ると、キャラクターがどんどん生まれては消えていく切なさに、胸が痛くなります。
もちろん、それが戦争ということなんでしょうけれども。まったく、嫌になってしまいますね。
軍用ヘリだの戦闘機だの戦車だのミサイルだの、やたらマニアックな専門用語が飛び交う戦争描写は相変わらずでした。
詳しい人ならこれについてもどうこう言えるのかもしれませんが、私はそちらの知識は全くないし、興味もないので、正直ちんぷんかんぷんです。
ミリタリーの専門用語を用いるのは、リアリティにつながるので構わないんですけれども、せめてそれを知らない人にも伝わるように描いてもらいたいですね。何が起こっているのか分からないままやられてた、なんてことがしょっちゅうなものですから。


ダイダラの新兵器「ハッチフェイス」。ええ、これが人間側にとって絶望的な兵器だということくらいは分かりますとも。
初めは単純に大軍で攻め寄せてくるだけだったのに、ダイダラ側も手を変え品を変え、色々やってくるようになりましたね。
このままではとても勝ち目はなさそうに思えるけれど、彼らに勝つための唯一といってもいい可能性を持っているのが、やはり理宇なのだろうなと思います。
ここ最近ずっと謎の力で生き延びてきてますけど、いい加減に焦れて参りました。そろそろ理宇のこの力がなんなのか、明かされてもいい頃ではないでしょうか。
まあ個人的には、理宇以上に虎紅に活躍してもらいたいんですけどね。ミヅキのこともあるし、虎紅の活躍の機会がどんどん少なくなってきている気がします。
それから、軍上層部の動きも気になるところです。ユリネも怪しげな動きを見せていましたしね。
ああ、鷹乃さんは今回も実にいい働きぶりでした。もはやミヅキよりも目立っているんじゃないかというくらい。
主人公たちよりも、鷹乃さんや教官たちのようなサブキャラ陣がおいしいところを持って行っているようにも思えます。そこがこの作品の魅力とも言えるんですけれど。


エピローグにてさらに大きな動きがありました。そろそろ物語も佳境に入ってきたということなんでしょうか。
物語の先には闇しかなくて、とてもハッピーエンドを望めるような状況ではありませんが、彼らなりに一生懸命疾走する姿を見せてくれることと思います。
もはやそれどころではなくなっている気もするけれど、虎紅とミヅキ、ついでに鷹乃の、恋の行方にも期待ですね。


今まであまり気にしてませんでしたが、ひらがなのオノマトペや副詞にいちいち傍点を振ってるんですね。ううん、少し違和感。いや、分かりやすいっちゃ分かりやすいけど……。