まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖剣の刀鍛冶13

聖剣の刀鍛冶13 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶13 (MF文庫J)

ストーリー
帝政列集国との決戦が間近に迫る中、騎士団や市民たちから祝福されつつ結婚式を挙げるセシリーとルーク。
その宴の片隅に佇む聖剣アリアは、親しげに声をかけてくる者たちの存在に困惑していた。
そんな宴の後、切り札となるアリアの力を確認するために、平野での試し斬りが行われることになったのだが……。



あらまあ、セシリーちゃんったらすっかり主婦然としてしまって……(表紙をしみじみと眺めながら)。
今回の内容をひと言で述べるならば、決戦前の束の間の休息、といったところでしょうか。
色んな物事が一気に好転へと向かった前巻ですが、決して目の前の脅威がなくなったわけではなく、ヴァルバニルは未だ復活の刻を待っているし、帝政列集国は今にも独立交易都市に攻め入らんとしています。
聖剣アリアは誕生したものの、昔の記憶はないし、それどころか今の銘さえも明らかになっていない始末。
状況は変わらず絶望的といって差し支えないわけですけれど、それでもなんとかなるんじゃないかと思ってしまうのは、セシリーとルークが相変わらずの絆で結ばれているから。
結婚おめでとう!
戦闘直前なのに、抱くだの抱かないだの、何をこっ恥ずかしいこと話しやがってるんだこいつらと白目剥きかけましたが、最終的にルークのセリフがイケメンすぎたのでもうどうにでもなればいいと思います。こいつら本当に未成年かよ。


ノロけまくりの新婚さんはほっといて、他のキャラたちもぐんぐん格好良さを増してきています。
その中でも別格なのは、なんといってもリサ! 眼帯が似合いすぎてて怖いくらい。ルークとの鍛冶のイラストがあまりに素晴らしく背すじが震えました。
冷静に考えてリサは、世界を救うために一番身を削っている人物のひとりだし、シリーズ当初から一番成長を遂げている人物のひとりでもあるんですよね。セシリー・ルークと並ぶ主人公と言ってもいい。
実際の戦闘には出ないけれど、最終決戦でも彼女なりの活躍を見せてくれるだろうと信じています。


さあいよいよ敵軍との接触! いざ戦いへ! というところで、なんと番外編挿入。えっ。
いや、まあタイミングとしてはここしかなかったかもしれませんが、しかし3.5話と4.5話って。もう少し早い巻に入れられなかったのかな……。DVD特典だからそうもいかないのか。
多少気が抜けたとはいえ、読んでみるとやはり面白かったです。お話が始まった当初の雰囲気を思い出しますね。
「聖剣の曲芸師」はギャグ分多めの話で、ツンツンルークさんが久しぶりに見られました。そういえば初めはこんな関係でしたね。最後のオチにもニヤリ。
「少女と少女王」はシャーロットとゼノビア様の出逢いの話。このコンビ、大好きなのになかなか出番がなくて寂しく思っていたので、不意打ち的にではありましたが、読めて嬉しかったです。
ドリスは今でもわりと出てくるけれど、マーゴットとペネロペなんて、正直名前さえ覚えていなかったくらいに出番がないですからね……。
いやあ、しかし、ゼノビア様は本当に可愛いなあ! 軍国編で外伝とか出てくれないかしら。無理かしら。


待ち構えるはクライマックスのみ。あと何巻続くのは分かりませんが、もうこのまま速度を落とさず、むしろ2倍にも3倍にも跳ね上げて、最後まで走り続けてくれればと思います。
目下何より気になることは聖剣アリアの今後ですね。いつまでもこのままということはありませんから、何か、魔剣アリアや銘無しに関係する変化が起こるのでしょうけれども。
セシリーやユーインと、魔剣アリアとの約束。ヒルダやヘイゼルと、銘無しとの約束。
2本の剣を材料に使いながらも記憶を受け継がなかった聖剣は、皆に何をもたらすのでしょうか。次の巻が待ち遠しい。


ほろ酔いゼノビア様を肩車して街中を闊歩したい。