まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺はまだ恋に落ちていない3

俺はまだ恋に落ちていない 3 (GA文庫)

俺はまだ恋に落ちていない 3 (GA文庫)

ストーリー
バレンタイン間近な二月の電車の中で、中学時代のクラスメイト・春子に出会った赤井。
彼女はかつて赤井が卒業式に告白し、振られた相手だった。
再会から赤井に急接近する春子の登場に、恵衣美、詠羅、空河は動揺を隠せず……。



新ヒロイン・春子が登場し、恋の鞘当てがますますヒートアップ。
春子はなんと赤井の元片思い相手ということで、ようやく朴念仁の赤井にも浮いた話が出てきてくれたかと、少々ほっといたしました。
だって恵衣美と詠羅からあれだけの熱烈アプローチを受けといてですよ。まだ恋に落ちていないとか抜かしやがるんですよこの男は。
赤井にも誰か女の子を好きになるということがあったんですねえ……。
それで、出てきた春子さんですけれども。この子がまた実に魅力的なヒロインなのですね。
もうね、そこでそれを言っちゃうのかと。策士、いや、悪女? どちらにせよ、あの場の空気の全てを握っていたのは間違いなく彼女でしたね。
田所姉妹には悪いけれど、正直申し上げて、春子の圧勝。もう春子エンドでいいんじゃないかなとさえ一瞬思ってしまいました。
今まで赤井は、全く同じポテンシャルといっていい恵衣美と詠羅に挟まれ(空河は置いといて)、両側から同じ力で引っ張られることで硬直状態に陥っていたんですよね。
そこに春子が現れたおかげで、赤井を巡る恋愛状況に大きな動きが生まれることになりました。
恵衣美と詠羅がいる以上、メインヒロインにはなれないキャラクターかもしれませんけれど、物語の上で彼女に与えられた役割は非常に大きいと言ってよいのではないでしょうか。
それにしても、中学時代の赤井と春子の会話が実に、ああ、実に……。
もうなんていうかですね、この赤井公とかいう主人公ですね、一度誰かに張っ倒されてくれませんかね! 痛い目を見るといい!


さて、このままだと春子讃歌で終わってしまいそうですので、他のキャラについても少しずつ。
恵衣美と詠羅の口喧嘩は、ワンパターンっちゃワンパターンなんですが、なんだかんだで楽しいんですよね。
特に詠羅のボキャブラリーや言い回しが実に独特で面白い。毎回新たな罵倒の仕方を学んでおります。別に学びたいわけじゃないんですけどね!
恵衣美は、彼女単体で登場するとあんなに愛らしいのに、他のキャラと一緒になるとどうしてこうも、頭痛がする感じなんでしょうか。とはいえ、彼女がこうやってぶつかったからこそ、進んだことも多々あるわけですけれど。
この姉妹は本当に、「どっちもどっち」ということばがぴったりくるようなダブルヒロインで、赤井がこれからどう進むのか、全然見当がつきません。どちらかを選んだら、まず間違いなくもう片方は泣いてしまうだろうし、そんな姿は見たくないし、ああ。
あえての空河ですか? それもいいかもしれませんね。今回の空河はなかなかにヒロインやっていたと思います。空河のくせに!
しかし、個人的に一番(春子を除いて)惹かれたのはなんといっても映子ちゃんでした。こんな妹を持っている親友がほしい。


赤井はまだ恋に落ちていない。でも、ここまで来たら、そのときはすぐそこまで迫っている、ような気がします。
恵衣美、詠羅、空河、まっすぐに想いをぶつけてくるヒロインたちですが、赤井は一体誰を選んでいくのでしょうか。
もしかしたら、恋の始まる前の今こそが、一番楽しい時間なのかもしれません。それでもやっぱり、決めていかなくてはいけません。
変わっていくことが楽しみなような、不安なような。とりあえず、次の巻を楽しみに待つとしましょう。


愛子さんエンドも最後まで諦めない。