まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ソードアート・オンライン10 アリシゼーション・ランニング

ストーリー
ザッカリアの街にたどり着いたキリトとユージオ。
衛兵隊への入隊を目指すふたりは、年に一度開催される剣術大会に参加する。
無事にユージオと別ブロックに分かれたキリトだったが、初戦の相手が卑怯な手を使ってきて……。



ファンタジー要素強めのお話が楽しく、またキリトとユージオのコンビが素晴らしくて、続きが出るのを待ちに待っていました。
あらすじでもふたりの活躍が描かれていて、さあどんな冒険が待ち受けているかと、わくわくしながらページを開いたのですが、出てきたのはアスナたちヒロインズ。正直ちょっと萎えました。
結局140ページまで現実世界の話だったのですが、もう早くゲーム内に戻ってほしくて仕方ありませんでした。
そりゃまあ、キリトの体がどうなったのかは気になるところだったし、某作品とのつながりを彷彿とさせる次世代型マシンのことも、知りたいっちゃ知りたいことではあるんですけど、今は何にもましてキリトとユージオの話が読みたいんですよ!
あらすじでテンションを上げておいての、このおあずけはとても辛かったです。辛いけれど、フラクトライトや人工知能といったワードが興味深くて、いつの間にやら引き込まれちゃっているから悔しい。悔しい!
とりあえず、絶対にろくでもない奴に違いないと思っていた菊岡が、予想通りのろくでもなさだったことには、妙な満足感を覚えています。
それにしてもアスナさんは行動力に満ち溢れすぎですね。あなたいくつでしたっけ。金があるうちの子はやることが違うな。


現実世界での時間の流れを横目に、どんどん過ぎ去っていくゲーム内時間。
いきなり前巻ラストから5ヶ月が経過していたことにもビビりましたが、剣術大会を終えて章が変わったら5ヶ月が2年になっていて白目剥きました。
現実では数日しか経っていないとはいえ、この場合キリト自身の感覚のほうがよっぽど重要なわけでして、ああ、ますますキリトさんのゲーム脳が加速してしまうよ……。
ただ、1巻のときにも思いましたが、どうでもいいような過程を一気にすっ飛ばして(本当は過程の中にもドラマがあるのだろうけど)、重要な部分だけを抽出して物語を組み立てることが、読者を飽きさせないことにつながっているのでしょうね。
ほんの200ページの間に、どんどんと上へ上へ、そして世界の中心へ進んでいくキリトとユージオの快進撃は、見ていて実に気持ちがいい。
キリトだけだと、またぞろ嫌味になってしまいそうなところですけれども、ユージオが隣にいることでそれがなくなっているような気がします。
まあ、ユージオにとってはこれはゲームでもなんでもなく、現実に他ならないわけでして。キリトと一緒にいても、その目に見えているものは違うのだと思うと、無性に寂しいものを感じたり、感じなかったりするのですけれどね。


表紙にも登場したキリトの先輩・リーナさんは、とても素敵なお姉さまでした。学院での1年間が飛ばされているのが惜しいくらいです。またの登場に期待したいところですが、ちょっと厳しいかなあ。
新たな武器も手に入れて、さらなる可能性も見え出して、さあ、そろそろ助走は十分なんじゃないかな?
最後のイラストに描かれた2本の剣を見ていると、自然テンションが上がってきます。
ここまで順調に進んできたふたりの前に、今度はどんな壁が立ちはだかるのでしょうか。それを、どんな風に乗り越えていくのでしょうか。
可愛い後輩ちゃん2人の出番も楽しみにしつつ、次の巻を待ちたいと……って、ああ、次はアインクラッド編なんですね。またおあずけかよ!


アニメの方も上々のようで何より。先に待ち受けているものを思うと、少々鬱になってしまいそうですが……。