まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と灰の狼

ストーリー
ヒューの元で、砂糖菓子職人として育てるための妖精たちを集めることになったアン。
より効率的に妖精を集めるため、妖精商人の長レジナルドに、協力を要請することになる。
ところが、冷酷非道な「狼」と呼ばれる彼は、彼らにとんでもない取引を持ちかけてきて……。



ここにきて銀砂糖子爵・ヒューが大活躍を見せました。かなり好きなほうのキャラなのですが、最初の方にアンの味方として腕をふるって以来、しばらくはアンと深く関わってこなかったように思います。
トランプでいえばジョーカーみたいな立場ですから、いち砂糖菓子職人だった頃のアンとは、それほど深く関わるわけにいかなかったということもあるのでしょうね。
逆にいえば、今のアンは、銀砂糖子爵と一緒に活動できるだけの地位と立場を得ているということです。
銀砂糖師なんだから当たり前といえば当たり前ですけれども、そういうふうに考えると、あの小さな女の子がよくここまで来たものだなあと改めて感じます。
ヒュー自身も、感慨深いものをおぼえているかもしれませんね。


妖精商人の長として、アンたちの前に立ちはだかったのが「狼」レジナルド
妖精を売り買いする商人のトップということで、シャルなどからすればまさに敵以外の何者でもないのですが、王家を相手取って平然としている器の大きさや頭の切れ具合など、なかなかどうして格好良く、憎めないキャラクターでした。
ダウニング伯爵との交渉の場面なんかは内心で応援してしまったくらいです。イラストが素晴らしかったですね……。
今回はすっかり悪役みたいになってしまった伯爵ですけれど、彼は彼なりに、今まで成功してきたやり方を追求しただけなんですよね。
いくら王家のためといえど、他人の命を奪うことで安定を図ろうとするのは、やっぱり間違っています。別にアンじゃなくても、誰だってそう思うでしょう。
ただ、銀砂糖子爵として上に立ってきたヒューは、もしかしたらそういう考えも持っているかもしれないと思っていました。目的のためになら冷たくなれるような様子を見せてきましたし、何より彼は、伯爵の近くにずっといたわけですから。
でもヒューは、伯爵に待ったをかけます。他ならぬ砂糖菓子職人の未来のために、その身をなげうって、です。
ああ、彼もアンやキャットと同じなのだと。ただひたすらに砂糖菓子が好きで、そのために銀砂糖師になったのだということが分かって、安心すると同時に、ちょっと嬉しくなりました。いやあ、いいキャラですね。


ダイヤモンドの妖精が目覚めたり、キースがシャルに詰め寄ったり(!)、大きな転換点がいくつもありました。
不器用きわまるシャルが、恋敵に発破をかけられて、どんなふうに態度を変えていくのか、楽しみで仕方ありません。
アンの想いはどちらへ傾くのでしょうね。キースにも、まだまだ勝ち目は残っていると思うのですが。


好きな子が気にかけている相手と正々堂々勝負したくてついつい誘ってしまうキース君萌え。