まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円

ストーリー
正月明け、恒例行事である冬の合宿へとやってきたHP同好会の面々と、姉についてきた茉莉花
合宿地では、元HP部で槍水と深い因縁を持つという狼《大厄の闘牛士》が待ち受けていた。
そんな中、遊びに寄ったスキー場で、茉莉花と佐藤がアクシデントに遭ってしまい……。



ああ、今回ばかりは言わせていただきましょう……なげえよサブタイトル!
いやあ、熱かったですね。いつもながら、佐藤が思いっきりヒーローしてるのがいいんだなあ。その分おいしすぎる目にも遭ってましたけれども。
HP部の解散理由というのが、作中で最も重要な謎のひとつだということもあって、いよいよ物語も佳境に入ってきたのを感じます。作中時間でもいつの間にか、佐藤たちが入部してから丸1年になろうかというところですしね。


立ちふさがる敵は、元HP部で、あの《魔導士》を育てたという凄腕の狼・《大厄の闘牛士》秋鹿。
闘牛士ということで、手にする武器はなんと赤いエコバッグ。なんというか、まるで予想外の方向に行ってくれましたね。
カゴまではまだ理解できるものの、あんなふにゃふにゃの手提げ袋でいったい何をするのかと思いましたが、そこはさすが、ベテランの狼といったところ。見事なエコバッグ使いで、周囲の狼たちを大いに翻弄してみせます。
まさか、“あの技”までがエコバッグの使用を考慮に入れていたとは……。エコバッグ恐るべし。
と、そんなスーパーの闘牛士もなかなかの衝撃でしたけれども、最初の戦いで誰より格好良かったのは間違いなく白粉大先生ですね。
佐藤はおろか、槍水先輩さえ出し抜いてのあの動き。凄まじいのひと言です。弁当棚の前では重力など意味を為さないのですよ! とばかりに、白粉も遂に人の域を超えるときが……いや、彼女はそんなものとっくに超えていたのでした。クリーチャー的に。
いえ、冗談はおいといて、そろそろ白粉にも二つ名が付いてもいい頃なのではないでしょうか。未だに月桂冠を奪取できていないのが残念です。相手の隙を突かないといけないから、狙いが集中する場ではなかなか力を発揮できないんですよねえ。


我らが《変態》ヨー・サトウが今回もやってくれました! ああ、あれほど著莪から注意されていたのに。
しかしこれは、もちろん佐藤も結構なものだけれど、10歳のくせにこんな風に迫ってくる茉莉花の方にも問題があるんじゃないかと思う次第。槍水のご両親はいったいどんな教育を施していらっしゃるのでしょうか。素晴らしい教育方針だといえましょう。
いやほんとにねえ、10歳が無邪気に放っていい色気じゃないですよこれ。お姉ちゃんよりもよっぽどエロいですよ。アサウラ先生はいったい何と戦っているんですか。
ただでさえ子犬のような愛らしさがあるところに、年齢不相応な色気まで身につけちゃって、もはや向かうところ敵なしといった様相を呈しております。もう、茉莉花でいいんじゃないかな。うん。


こんだけ変態を発揮したあとに、やたら格好良いところを見せてくるんだから、佐藤はずるい。
先輩にも白粉にも言わずに、というところがクールですよねえ。約束を交わした茉莉花とだけ通じ合っているのも素敵じゃないですか。
槍水先輩の沽券を守るため、かつて拳を交わした真希乃と力を合わせて、大先輩の狼に立ち向かう。最高に燃える展開をありがとう!
敵に回すのは怖いけれど、味方にいたら誰より心強い《ギリー・ドゥー》が一緒に戦ってくれるのだから、これ以上のことはありません。
お互いに譲れないものがあって、そのために戦う佐藤と秋鹿。さらなる奥の手を繰り出す《闘牛士》に、倒れても倒れても立ち上がる《カペルスウェイト》。これまでの弁当バトルの中でも屈指の名試合でした。拍手。


そして毎度おなじみ、空腹の胃に大ダメージを与える弁当タイム。ええい、今夜はカレーだ! カレーをもて!
最後の最後に見せた、佐藤と秋鹿のやりとりには胸が震えました。ここまでダメ押しされたら、もう、素直に白旗を揚げるしかありませんですよ。参りました。
次巻もぜひ、カレーのように熱く、スパイスの効いた、濃厚なお話を披露してくれることを期待しています。


茉莉花に対抗できる人材がいるとするならば、そう、白梅様。白梅様しかいません。白梅様こそが頼りです。踏んでください。