まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら

ストーリー
写真好きの高校生・祐吾は、タワーの頂上で天女のような少女と出会う。
未来から来たという少女・桜庭せせりは、過去へ介入して世界の滅亡を防ぐ「時軸修復士」だった。
なし崩しに彼女の協力者となった祐吾は、せせりの任務を手伝っていくのだが……。



天然未来人の美少女と力を合わせ、世界の滅亡を回避していくSFコメディ。
世界を救うとはいえ、悪の組織と巨大ロボットで戦うわけでも、大災害を超能力で防ぐわけでもありません。
祐吾とせせりが必死になって取り組む任務は、超有名アイドルのおっかけをしてなんとか接触しようと試みたり、番組制作者の恋路を成功させたりといった、スケールの小さなものばかり。
しかしそれが巡り巡って、なぜか世界滅亡を防ぐことにつながっているのが面白い。タイトルにもありますが、いわゆるバタフライ効果というやつですね。
こんな、その辺にゴロゴロ転がっていそうな些細な分かれ道に世界の命運が懸かっているのだから、なんとも空恐ろしいものです。未来の時軸修復士のみなさんはてんやわんやなのではないでしょうか。
せせりみたいな子が投入されているくらいだもんなあ。よっぽど人材不足なんだろうなあ。


祐吾とせせりの奮闘は、なかなか見ていて辛いものがあります。その、なんていうのかな、頑張りは伝わってくるんだけど! だけど!
やり方が致命的に不器用すぎるんですよね。もう少しこう、からめ手からとか、外堀を埋めるとか、そういうやり方もあるということを知っていただきたい。
目的に向かってまっすぐ突き抜けすぎなのです。まあ確かに、それが最短ルートであることもあるのだけれど、大抵は「いやいや、それ明らかに失敗するでしょ! ちょ、待てよ、待てって、おい……ほらー、だから言ったじゃーん」という感じ。
目も当てられないとはまさにこのこと。空回りもいいところである。よく一度も逮捕されずに済んだものですね。そこだけは手放しで褒めてもいい。
キャラクターの中では、せせりに次ぐもうひとりのヒロインにしてスーパーアイドル・揚羽様がとても可愛かったです。付き人にしてください。
やっぱりアイドルといえば、ちゃんと二面性があって、これくらいの女王様っぷりを見せてくれてこそだと思うのですよ! 多分に妄想入ってますけども!
まあ女王様はともかく、誰もが知っているトップアイドルのプライベートや裏の顔というのは、それだけでドキドキするものです。その裏の顔が可愛ければなおさらです。ちくしょう祐吾め、上手いことやりやがって。


とりあえず目の前の案件は片付きましたが、せせりの任務はまだまだ残されているようで。
クアトロA関連についても一段落したけれど、揚羽様はこれからも登場してくるんだろうし、また何かアイドル方面で騒ぎが起こるのかな。かなりギリギリの橋を渡ってきた祐吾とせせりにとっては、これ以上は触らぬ神に祟りなしである気が……。
それから、祐吾の趣味である写真のことも気になりますね。今回もそれなりには描かれていたし、終わり方に綺麗に絡んできたとは思いますが、少し物足りなさもありました。
どちらかといえば、祐吾は振り回されっぱなしだった印象が強いので、写真のことも含め、何か主人公らしい活躍を見せてもらいたいですね。
恋愛方面の発展はあるのかな? 密かにそちらも期待しつつ、続きを楽しみにしています。


イラストはH2SO4さん。溢れる表紙力に目がかすんでしまいそうですよ!
揚羽様の表情が大好きです。サングラスたまりません。


ポロリはハプニングの華だからな。仕方ないな。