まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ(6)

ストーリー
洗濯の習慣がないせいで、遂に穿くパンツがなくなってしまったアナスタシア。
登校前にそのことに気付いた彼女だったが、とりあえず平静を装って部屋を出ることに。
ところが、廊下に出ていきなり、秋子に心の動揺を見透かされてしまい……。



5本の短いエピソードが入った短編集。といっても、普段の長編でも特に大きな事件が起きるわけでもないので、ノリはいつもと同じ感じですね。相変わらず会話のテンポがとても良く、非常に読みやすい。
5話目の「那須原アナスタシア」だけは、タイトル通りアナスタシアの話でしたが、あとの4話は基本的に秋子の無双状態。
いや、他のヒロインも頑張ってましたよ。頑張ってましたけど、ごめん、全力で空回りしてるようにしか見えません。


「姫小路秋人も、ただ一方的にモテるだけではない」は、秋人のいないところ(風呂場!)で、ヒロインズが秋人についてあれこれ言い合うお話。
アナスタシアも、会長も、銀兵衛も、ありさも、なんだかんだで秋人には言いたいことが溜まっているご様子。
とはいえ、そんな悪口の裏に確かな好意が見え隠れしていて、みんな秋人にベタ惚れなんだなあということだけが伝わってきましたけれども。
そしてそんな中、やはり圧倒的なのが我らが秋子さんですよ。か、勝てねえ。もう色んな意味でこの子には勝てねえ……!
奇人変人だらけのこの場において、他全員を問答無用で黙らせてしまうほどのお兄ちゃん愛に、ただただ感服であります。


「姫小路兄妹の日常①」「②」は、秋人と秋子が、しりとりや図鑑を使ったゲームでひたすらいちゃいちゃするお話。
もうほんとなんなのこの兄妹。ラッブラブじゃないですか。ニヤニヤとか通り越して、もはや生温かい目で見てしまうレベル。
秋子のまっしぐらな、実に可愛らしいアプローチを、何もなかったかのようにばっさばっさと切り捨てていくお兄ちゃんが格好良すぎる。
それでいて、秋子が油断しているときに限って甘い言葉を囁いちゃったりなんかして、完全に秋子のブラコンぶりを分かった上で手玉に取っているのが丸分かりで、お前ほんとに妹大好きだな! どの口が「シスコンじゃない」なんて言ってるんですかね!
あけっぴろげなブラコンの妹と、無自覚かつ大真面目なシスコンの兄。ううん、どちらがより厄介なんでしょうか。


「僕らとメガネとコンテスト」は、メガネ嫌いの秋子のために、みんなでメガネコンテストを開くお話。
残念ながらありさ登場前のエピソードということで、ありさの出番はないものの、他4人のヒロインたちのメガネ姿をイラスト付きで堪能させていただきました。
秋子を除けば、不意打ち気味にKOを食らいかけたのは銀兵衛ですね。彼女のキャラでこれはずるい。引かれるリスクを無視してこの暴挙に打って出たぎんぎんには盛大な拍手を贈りたい。
銀兵衛だけでなく、アナスタシアも会長も、それなりに魅力的に攻めてきていたけれど、それでも溢れるこのかませ犬感はいったいどうしたら。
もう何も考えずに秋子を愛でていればそれでいいような気がしてきました。ああ、押せ押せじゃない秋子も可愛いなあ……。


那須原アナスタシア」は、アナスタシア視点から、姫小路兄妹との出会いを描いたお話。
1巻のアナさんのあの唐突な登場の理由がようやく明かされました。いくらなんでもねえよと思っていたのですが、こんな裏事情が隠れていたんですね。読んだあとに1巻を読み直すと、また違った味わいがありそうです。
アナさんの秋人への恋慕もよいものですが、それ以上に秋子への素直じゃない好意がそれ以上に素敵でした。
今回の表紙イラストでも思いましたけど、秋子とアナスタシアの百合はなかなか、いやかなり、いやとても、アリだと思います!
秋子は基本的にいじられキャラですから、Sっ気の強いアナさんとは相性がいいんですよねえ。このコンビの今後に期待。


アニメ化決定おめでとうございます。この軽妙な会話劇と、ブラコン・シスコンの織りなす恋愛模様をどう描いてくれるのか、大いに楽しみです。