まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

緋弾のアリアⅩⅡ 狼狗に降る雪

緋弾のアリア (12) (MF文庫J)

緋弾のアリア (12) (MF文庫J)

ストーリー
武偵高校長から直々に退学を言い渡されてしまったキンジとレキ。
しかしそれは、一度生徒を退学させてから一般高へ編入させるという、武偵高ならではの転校の手口だった。
なぜか着いてきたレキと共に念願の一般高へ編入したキンジだが、慣れない<一般人>としての生活に悩まされ……。



キンジさん、遂に一般高へ。思えばシリーズ当初から、転校したいとうわ言のように繰り返していたキンジですが、今回ようやくそれが叶いました。
よりによって「師団」と「眷属」の戦いが激化してきているこのタイミングでかよ、と思わなくもない。新手のいじめか何かですか。
いきなり武偵高を離れることになって、少しは未練でも見せてくれるのかなと思っていたのに、異様にあっさりと引き払ってしまってちょっと拍子抜け。
アリアと一緒に戦っていくみたいなことを言っていたはずなのになあ。それとこれとは話が別ってことなのか。
とはいえ、長年の夢が実現して、いてもたってもいられずにそわそわするキンジさんは妙に可愛らしかったです。本当に転校したかったんだなあ、この人。


ということで、超人も奇人もいない、一般高での生活が始まりました。だいたい予想のついたことではありますが、キンジさん、全然馴染めてない! なんというぼっち!
今までは周囲があまりにおかしい環境だったので目立ちませんでしたが、キンジさんも十二分に変人の域に達していたっていうことなんですねえ。
武偵としての一般常識と、私たちの常識との間に隔たるギャップの深さに笑ってしまいました。カンペンの音ひとつ取ってこんな具合じゃ、武偵のみなさんは一体どうやって生活しているんでしょうか。神経がおかしくなりそう。
そして、転校して早々新たなヒロイン・萌を発掘、電撃的な速攻でナチュラルに落としてしまうキンジさんのイケメン力はさすがですね!
しかもこの子がまた可愛いんだ。癖の強いヒロインたちの中で燦然と輝く「普通」こそが彼女の強みですね。いや、キンジに目をつけたあたり、どう考えても普通じゃないですけれども、少なくとも出会い頭に拳銃で一発、なんていう女の子ではありません。
純な好意を向けてくる萌とのラブコメは、それはそれで楽しかったです。ここに来て積極性がぐんと増してきたレキさんも、めちゃくちゃに可愛くてどうにかなりそうでした。でもやっぱり、どうしても物足りなさが拭い切れなかったことも確かです。
だって、ここには理子がいません。白雪が、ジャンヌがいません。何より大切な、ピンクブロンドのあの子がいません。
私たちが感じるつまらなさは、キンジもしっかり感じているようで、逆にほっとしてしまいました。こんな状況に順応してもらっては困るのですよ。


どんな平和な場所にいてもトラブルに巻き込まれるのは、武偵の業というやつでしょうか。
それにしても強い強い、キンジさん。超能力者でも怪物でもない一般人とは、これほどまでに差があるものですか。武偵怖すぎるよ。
勝つことが分かっている戦いではありましたが、それだけに気持ちよさが違います。どうだ、うちのキンジさんはこんなに強いんですよへっへーん、という感じ。
不良たちとの関わりや、ジーサードとの共闘も熱かったですね。ジーサードさんはいざ仲間になると心強いなあ。お得意のツンデレ芸にもニヤニヤさせられました。お兄ちゃん大好きなんですね金三さん!
影でしっかり支えてくれていたかなめの存在も忘れてはいけません。それからもちろん、あの子のこともね。
これだけ長く彼女が登場しなかったことが、今まであったでしょうか? この作品は彼女がいてこそなのだなと、改めて思わされました。ああ、ほっとするちっこかわいさ。


もはや恒例となった新必殺技も、ここまで来てしまいましたか。さらに「人間やめました」ランキングが上がりますね! やったね!
そしてこちらも恒例、衝撃の幕引き、次回予告。またとんでもないキャラが出てきましたが、大丈夫ですかこれ。
もはや武偵とか超偵とかそういう話ではないような気もしますが、いやいや、キンジさんとアリアならきっと問題ないですよね。そうだと信じたい。
いつもながら、次の展開が全く読めません。すぐに武偵高に戻るというようなことはなさそうですが、さて。続きが待ち遠しいですね。


「え、あの子銃弾撃ちできないの? 嘘でしょ?」ととっさに思ってしまったあたり、常識が順調に崩れかかっている。