まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕の妹は漢字が読める4

僕の妹は漢字が読める4 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める4 (HJ文庫)

ストーリー
オオダイラ先生がプロデュースしたレストランに家族ごと招待されたギンたち。
そこでギンは、先生に「恋を知りなさい」とアドバイスを受ける。
ようやく恋を意識し始めたギンに、ユズとクロハがそれぞれアプローチをしてきて……。



いつの間にか大好きになっていたこのシリーズも、早くも4巻目になったのですね。
3巻のラストが強烈な引きだったわけですが、そのスタートダッシュの勢いのままに、破壊力抜群のラブコメ展開で走り抜けてくれました。
その中心にいたのは、もちろんギンとクロハです。クロハがもう、ひたすらに可愛くて可愛くて、どうにかなってしまいそう。
文学として義妹ものを愛しながらも、基本的に3次元の恋愛事には疎いギン。そんな朴念仁を相手取っているのだから、女の子の側が積極的に攻め込むしかありません。


まずはユズさんからですけれど、彼女もずっとほのかな想いを持ちながら、それを改めて表に出すことはせずに過ごしてきました。
彼女を駆り立てたのはギンの両親による勘違いでしょうか。子どもの恋愛のことは、子どもにまかせておけばいいのに。ギンとクロハ、ミルとの関係を危ぶんでいたということがあるとはいえ、困ったものです。しかも、その懸念が事実なのだからなおさら始末におえない!
どうしても回りくどい方法しか取れずにいるクロハと違い、ユズさんの愛情表現はとても率直で、胸を打たれます。
未来人の中でひとり、頑張って生き抜いていることを思うと、彼女に幸せになってほしいのは山々ではあるのですが、正直言って厳しそうな雰囲気。
今回の彼女はどちらかと言うと、クロハの魂に火をつけるためのライバルキャラとしての位置づけが強かったように思います。悪く言えばかませ犬ですね。
彼女のおかげで、というと大いに失礼ですが、クロハのターンが格段に増えています。個人的にはありがたいけれど、ユズさんとしては皮肉なことになってしまいました。
いや、諦めるにはまだ早い。最強のクロハを追い落とすことができるのは現状でユズさんしかいないのですから、クロハに遠慮することなく突き進んでもらいたいですね。


一方のクロハですが、いやもうねえ、最初から最後まで私の心を撃ち抜き続けてくれましたよ、この娘は。
読んでいるうちにギンの魂に乗り移られてしまったのでしょうか。ああ、義妹ものって、最高だな!
両親からは外堀を埋められ、ずっと密かに一途に想い続けてきた兄がぽっと出てきた女の子に奪われそうになり、でもきょうだいである関係上素直になりきることもできなくて、もやもやと思い悩むクロハの姿の、なんと愛くるしいことでしょうか!
そんな風に苦しんでいる彼女も、一度吹っ切れると驚くほど大胆で、アマネコやユズさんのことがあり、よっぽど切羽詰まっていたのだということがうかがわれます。
まっすぐに伝えることができないから、絡め手からなんとか想いを表現しようとして、でもいざ伝わりそうになると怖気づいてしまう、そんなクロハに乾杯。もうだめだ。負けました。素直にきゅんきゅんさせられることにします。
それにしてもクロハさん、小学2年生の頃からその才能の片鱗を覗かせていたとか、ブラコンのエリートすぎる。テンションが上がってアドレナリンの放出が留まることを知らないのですが、どうしてくれるんですか。


直接言われてようやく気付き、しかも何も返すことのできない、ヘタレなギン。
でもそんな彼も、ようやくふたりの想いを知るにいたり、少しずつこの三角関係も動き出していきそうな予感がします。
それから、遂にギンたちの前に姿を表した三十八世紀人・別名黒パンストたちの存在も気になるところです。
どうやら、ギンの選択が彼らの未来に大きく影響を与えるようですが……まだ謎は謎のまま。何かを知っているらしい博士の思惑にも要注目ですね。
そして忘れてはいけないオオダイラ先生の文学論。毎章の切れ目が楽しみでなりません。次回も大いに笑わせてもらう予定です。
上で「三角関係」と書いてしまいましたが、まだアマネコちゃんだっているのです。ギンを巡る女の戦いがどうなっていくのか、わくわくが止まりません。次巻も待ち遠しい。


きちんとイラストで見たら『にくたいにかきっこ』が想像以上にエロかった。はふう、ごちそうさまでした。