まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て

ストーリー
レティシアが連れ去られたことで始まってしまった凶悪極まるギフトゲーム。
迫りくる巨人族からアンダーウッドを守るため、飛鳥やジンは必死の戦いを繰り広げる。
一方、レティシアのいる吸血鬼の古城に運ばれてしまった耀は、ゲームクリアに向けて頭を悩ませるが……。



3巻で一休みして溜め込んだ分だけ、巻を通じてバトル三昧でした。
十六夜は相変わらず圧倒的で、見ていてスカッとするし、何より、飛鳥や耀も十六夜に負けないくらいの活躍をしてくれていたのが嬉しいですね。
十六夜は確かに強いけれど、最初からずっと強いんですよね。主人公らしく成長を見せてくれるという意味では、飛鳥と耀に軍配が上がると思うのです。今回はその成長がよく感じられた巻だったと思います。
格好良かったのは問題児3人だけではありません。ゲストキャラや、“ノーネーム”以外のキャラも見事な戦いっぷりを披露してくれました。
個人的にお気に入りなのはペストさん。かつてあれだけ苦しめられた相手ですから、いざ共に戦うとなると心強くて仕方ない。
かつての敵との共闘というのは燃えるシチュエーションの筆頭と言って過言ではないと思うのですが、飛鳥とペストが戦友とも呼べるような関係を結んでいるのには胸が熱くなりました。
飛鳥といえば、いつの間にかサラとも仲良くなっていたし、フェイス・レスともやりとりがあったし、3人の中では一番交友関係が広いようですね。お嬢様の人徳が為せる技でしょうか。


しかしやっぱり気になるのは、そこかしこでどうしても付きまとう説明不足感。
アンダーウッドのVIPルームなど、相当綺麗な景色なのでしょうし、できるならば想像したいのですけれども、目の裏にその景色が浮かんでこないのですよね。残念至極。
ギフトゲームについても、これも毎度のことですが、分かったような分からんような、のまま最後まで来てしまいました。
こちらが全く理解できていないのに、十六夜や耀がこう、すらすらと謎解きをしていくので、キャラたちから置いてきぼりにされてしまったようでなんとも寂しい。
百歩譲って謎や、謎を解くやり方が分からないのはまだいいのです。それが謎というものですから。
しかしギフトゲームの場合は、彼らによって謎が明かされたとしても、その解答自体でさえも全然しっくり来ないのです!
せめて私に十六夜の100分の1でも、伝説や歴史の素養があれば違うのかもしれませんが……。そうではない以上、「こいつらは天才だからな」と諦めて、ぐっと飲み込んで分かった気になるしかないのかもしれません。
まあ、このお話のメインはあくまでド派手なバトルパートにあると思いますし、単純に物語を追うだけならば、このあたりは適当に流しても構わないっちゃ構わないんですけれどね。


飛鳥も耀もそれぞれ覚醒の兆しを見せ始めましたが、とりあえず最終的に頼りになるのは安定の十六夜さん。
黒幕の存在や思惑もうっすらと明らかになってきて、今後のさらなる盛り上がりを期待させてくれます。
しかしとりあえず気にかかるのは、十六夜と耀のことですね。このすれ違いに、次巻ではきっと決着をつけてくれることと思います。楽しみ。


飛鳥お嬢様は「待つ女」という立ち位置がとてもお似合いだなあと思う次第。