まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

さくら荘のペットな彼女7

ストーリー
美咲のアニメの声優オーディションに向け、七海の台本練習につきあうことになった空太。
恋人役で恥ずかしい台詞が多いせいで、練習のたびに七海と妙な雰囲気になってしまう。
そんなふたりの様子を目の当たりにしたましろは、空太をモデルにして絵を描くと言い出して……。



新学期。美咲と仁が卒業して寂しくなるのかと思いきや、妹は来るわ新キャラは出るわ、そもそも美咲は隣に住んでるわ、相変わらずのドタパタで少し安心しました。
中でも大きかったのは、やっぱり新キャラにして新1年生のふたりの登場ですね。
入学式当日にさくら荘入りというエリート・伊織は出てきて早々吹っ切れた変態っぷりを披露してくれました。はうはうの弟というのも地味においしい立ち位置。
欲望に正直で無駄に堂々としていて、おバカな男子高校生という感じで好感が持てますね。
仁の変態ともベクトルが違うし、今までいたようでいなかったキャラだよなあ。いいにぎやかし要員になりそうですね。
新入生代表、クールな優等生にしてどえらい秘密を隠し持つ栞奈。いや、栞奈さん。むしろ栞奈様。
まさかとは思っていたけれど、本当に趣味でやってたんかい! いえ、とっても素敵なご趣味だと思います!
これはまた、ましろとは別の意味での超大物がやってきてしまったようですね……。将来が楽しみだ。
それにしても、空太さんのイベント構築能力が凄すぎて笑う。どんだけパンツ運に恵まれてるんですかあんた。


そんな風にキャラが爆発している伊織と栞奈ですが、やっぱり、それぞれ悩みを抱え込んでいました。
頑張っても追いつけないもどかしさ。新たなものを生み出す苦しさ。
一生懸命にやっても結果が出ない。それはいつか、空太やましろや七海が、同じように通ってきた道です。
あの頃あれだけ悩んで、色々な人からヒントと助けをもらってやっと進めた空太たちだけれど、今度は、彼らが後輩たちを導く番。もう、そんな立場になってしまっていたのです。
そう思うと、あの頃に比べて空太も成長したのだなあと感慨深くなりますね。


とはいえ、他人のことばかり気にしている場合ではありません。空太とましろ、七海の関係が、ようやく大きく動き出したのですから。いやはや、ここに来るまでずいぶんとかかってしまったものですねえ。
今回ずいぶんと積極的だった七海やましろを見ていると、これほど停滞が続いてしまったのは、やっぱり空太に負うところが大きかったんじゃないかと思います。
焦れに焦らされて、結局ヒロインたちの方が我慢できなくなっちゃったということでしょうか。罪な男です。
空太の気持ちまで理解した上で、やんわりと攻めに行く七海は実はかなり策士なのでは……。こんなアプローチをされたら、そりゃあ頭の中もいっぱいにされてしまうよね。
一方のましろですが、いつの間にか、こんなに感情を動かすようになっていたのだなあとしみじみ。
行動で表現することが難しいから、自分にできる唯一のやり方で想いを届ける。とてもましろらしい、素敵な伝え方ですね。


こんなところで終わってくれちゃって、もう居ても立ってもいられないわけですが、次の巻は短編集……だと……?
うわあああ! どこまで焦らせば気が済むんですか! 早く、早く本編の続きを!
空太はひたすらましろと七海に押されっぱなしだった印象ですが、次回こそは一歩先に進んでくれるのではないかと期待しています。


あ、アニメ化おめでとうございます。とりあえず重要アイテムたるパンツのディテールにはこだわっていただきたいところ。