まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)3

ストーリー
砕月の修羅場だらけの日常に、すっかり馴染んでしまった人外ウィザード・タマ。
そんなある日の夜、タマの元に、彼女の組織の上司・オピウムが現れる。
オピウムは、三日以内に失った情報を取り戻さなければタマを消去すると言い出して……。



もう空気ヒロインなんて言わせない! 我らがタマさん大ハッスルの回でした。
実はウィザードの中でも下っ端の下っ端だったらしいタマさん。そんなタマさんを追って、組織から恐怖の塊のような上司・オピウム様が新條市へ。
表紙イラストの雰囲気とあらすじから、てっきりタマのライバルキャラか何かだと思っていたのですが、いやいやとんでもない。
エリート中のエリートにして、別次元の強さ、誰も寄せ付けない冷徹さを持つオピウム様。それはただバグを倒すための存在であり続けるウィザードの本来の姿のようで、タマはむしろ特殊な部類だったのだと私たちに気付かせてくれます。


一挙に窮地に立たされたタマさんですが、肝心の砕月は安全と信頼の修羅場パラダイス絶賛営業中。いやあブレないですね。ブレなくゲスいですね。
優沙ちゃんに静流先輩、千夏、さらには義母と義妹にまで囲まれて、ボノボの求愛行動がどうたら口に出せるビョーキさん凄いです! 尊敬します!
自分の口から湧き出てくる台詞に対するモノローグのツッコミと、ヒロインたちの容赦無い実力行使。
ギャグのテンポがめちゃくちゃ好みで、読んでいて楽しくて仕方ない。ページをめくる手が止まりません。
優沙ちゃんチョロ可愛い。静流先輩狂可愛い。千夏ツン可愛い。みんな可愛くて辛い。
こんだけ魅力的な女の子たちが、こんだけゲスい姿を見せ続ける砕月にまだ思いを寄せ続けてしまうのだから、まこと恋とは摩訶不思議なものであります。
まあ、修羅場に次ぐ修羅場を構築しつつも、なんだかんだで本人たちはわりと楽しそうなんですけどね。


修羅場。それはいつもの光景のはずだけれど、今回のこのタイミングでは、タマさんにとって辛いものになりました。
すれ違いっていうのは、こうしたちょっとしたことから始まって、いつの間にか取り返しがつかないくらいに距離が広がってしまう。一般的には、そういうものなのだと思います。
しかしこの作品の主人公はそうじゃない。追いすがって拒絶されて追いすがって逃げられて追いすがって口説き倒す! それがゲスのゲスたる所以!
ゲツ君ゲスだけれどこういうところは圧倒的に格好良すぎてほんと評価に困る。お前最高だよ。最高のゲスだよ。
そして、女の子の笑顔を守るために自分自身を歯牙にもかけない、そんな砕月のことを心配し、信じ、怒りながらも優しく遠くから見守る千夏ちゃんはなんですか、最上位の天使か何かなんですか。
泣いてる女の子を助けようとして別の女の子を泣かせるとか……。とことん罪な男です。罪にまみれてがんじがらめです。でもこんな奴だからこそ、優沙ちゃんも先輩も千夏も、そしてタマも、砕月のことをいつまでも見捨てられないのかもしれません。


今までに比べ、全体的にしんみりしたお話でしたが、砕月はギャグにもシリアスにも全力で突き進んでくれるので、安心してついていけました。
タマさんもしっかりヒロインになってくれちゃって、ほっと一息、と思いきや、なんですかこの続き方は。ずるいですよ!
あまりに先が気になってゲツ君さえ女の子を口説くのをやめるんじゃないですかね。いや、やめてませんでしたけど。こんな緊急時でもゲスい。それでこそ砕月さん。
これからまた戦いが始まるのでしょうけど、ここにきて登場した新キャラが何より楽しみですね。首を長くして、次巻を待ちたいと思います。


公式サイトで公開されているエピソード0も面白かったです! 砕月も将来はこんな大人になってしまうのでしょうか。至急の軌道修正が求められる。