まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

も女会の不適切な日常1

も女会の不適切な日常1 (ファミ通文庫)

も女会の不適切な日常1 (ファミ通文庫)

ストーリー
エスニカ誠心学園に存在する「もっと学園生活を豊かにする善男善女の会 部」、通称「も女会」。
も女会に所属する唯一の男子・花輪廻は、個性的な部員たちと共に、それなりに平穏で楽しい日々を送っていた。
バレンタインデーの日、真冬にも関わらず、部長はいきなり水遊びをすると言い出して……。



海冬レイジ先生の新作。さらにイラストが赤坂アカさんと聞いて、手を出さずにはいられませんでした。
ひと言で感想を述べるならば「なんじゃこりゃ」。
いや、面白い。面白いんだけれど、他人にはオススメできない。でもひとりで楽しむにはもったいないので、たまたま読んでハマった人とあれこれ語り合いたい、そんな作品でした。
ひとまず手放しで賞賛できる点は、文章から溢れる「やりたいことやってる感」ですかね。あとがきからも伝わってきましたが、作者は本当に楽しんで書いているんだろうと思います。
ジャンルですか? ええと、ラブコメでいいんじゃないですかね。100ページくらいまでは……。


いえね、序盤の日常パートはいまいち乗りきれなくて、期待していたわりには微妙かななんて思っていたんです。
基本会話ギャグですから読みやすくはあるんですけどね。もう少しリンネのツッコミにキレがあると、多分もっと笑えるような気がする。
ただ、ヒロイン3人は可愛かったです。直接は登場しない雛子を加えれば4人ですか。リンネはちだね先輩に首ったけのようですが、個人的にはユーリと繭に1票ずつ入れたい。
特にユーリの素直になれない恋心にはきゅんきゅんします。周りが個性的すぎる中で唯一まともだから逆に目立ちますよね。悪く言えば普通ってことなんですが。
とまあ、いくつか思わせぶりな謎なんかも振りまきつつ、それなりに楽しくラブコメが進んできたところで、いきなりコレだよ。
アイの登場まではまだそれほど驚かなかったのですが、第三話の終わりで完全にやられてしまいました。さすがにこの展開は予想外。まさかここでこう来るかと。思わず笑ってしまいましたね。
指示語ばかりで何が何だか分からなくなってしまっていますけど、つまりあの娘です。繭です。ここにきて繭の魅力値が跳ね上がりすぎて困る。
さらにさらに、第四話ではちだね先輩、第五話ではユーリと、何このヒロインたち本領発揮しすぎなんですけど。ついていくので精一杯。あ、分かったあれでしょ夢オチなんでしょ。いつまで寝てんだよ早く起きろよリンネさん!(錯乱気味)
ヒロイン一同がそんなことをしている間に、いつの間にかお話の中心はリンネとアイへとシフトしてました。
こうなってくると、アイも放ってはおけませんね。ある意味繭やちだね先輩以上の危うさがあって、そこがいい。真っ赤な薔薇には棘があってこそなのですよ。


これだけあれこれやっているのに、終わり方は意外なほど綺麗でした。もちろん、解決していないこともまだまだたくさんありますけど。
お話をとりあえず着地させつつ、伏線をさりげなく回収していっているあたりは、やっぱり上手いなあと思います。
時間軸がどうのこうのといったあたりは正直ごちゃごちゃしていて、分かったような分からないようなというところでした。なんとなく飲み込んだ気になっておけばいいんじゃないかな。
次回がどうなるのかさっぱり読めませんが、また思い切りぶっ飛んだことをやってくれるのではないかと楽しみにしています。


イラストは赤坂アカさん。漫画家さんということもあってか、キャラの表情が生き生きとしていて好きです。
表紙の吸引力は凄いですね! このままフィギュア化してくれませんか。


我らが愛しきストーカー・雛子ちゃんにもっと出番を!