まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(4)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)

ストーリー
夏休みに入って、毎日一人、悠々自適な生活を送る八幡。
ある日、平塚先生から招集がかかり、奉仕部としてキャンプ場でのボランティアを強制される。
ところがキャンプ場に着くと、なぜか葉山、三浦たち「リア充」組も集まっていて……。



いつもながら堅実で確かな面白さ。軽いラブコメの体を取っていながらも、お話として芯がしっかりしているから、意外なほどボリュームを感じる。
やはり、語り手の八幡の独特な語り口、そして「ぼっち哲学」とでも名付けられるべき彼の感性が、そうさせているのだろうと思います。
他にも理由はあれど、この物語をこの物語たらしめている主な要素は、間違いなく八幡の存在なのでしょうね。
しかし八幡の考え方は、読んでいて正直疲れます。1巻の読み始めとかは、まだ新鮮に映ったので大丈夫だったんですが、慣れてくるに従ってだんだん、こう、げっそりしてきました。
八幡がぼっちになる理由の一端がようやく分かってきた気がする。ずっとこの男と一緒にいたら、そりゃあ疲れるだろうなあ……。
世の中の綺麗なものをことごとく穿った目で見ているんじゃないでしょうか。まさにひねくれ者の権化と言えましょう。
決して、彼の思考・言動に対して、全てを否定的に思っているわけではありません。むしろ同感を抱いてしまうことも多い。
ああ、こんな風に頭の中でだけ愚痴って、論理的に打ち負かした気になって、満足感に浸るようなこと、あるよなあ、とか。
そして、そんな風に八幡のことを理解できてしまう自分を見つけて、そこでげっそりします。外側から抉られるんじゃなくて、内側から自分で抉りに行っちゃう感じ。別に抉りたくないのに。せめてもう少し上の方を見つめて生きていきたいのに。
読者にまで、嫌なことを思い出させ、自己嫌悪に陥らせ、げっそりさせてしまう……。八幡さんのぼっちスキル半端じゃねえな。


夏休み。舞台は山中のキャンプ場。男女入り交じって二泊三日のボランティア!
みんなでカレー作ったり、川で泳いだり、肝試しのセッティングしたり、花火したり。これだけ見ると十分すぎるほどリア充なのに、八幡の目を通すと全然そう見えないから凄い。
まあ、いかにもつまらなそうに語っているけれど、その実八幡も楽しんでいるのだろうと思います。地の文くらい、もっと素直になっても良さそうなものですが。
とりあえず小町かわいいよ小町。これはシスコンになって然るべき可愛さだな! 小町ちゃんが悪魔的に小悪魔すぎてこの胸のビートが鳴り止まない。
特にポイントとなったのは、リア充組との絡みの多さですね。特に八幡と葉山の会話が多く、興味深かったです。三浦や戸部の、少し意外な一面も見ることができました。
葉山は改めて素晴らしい。絵に描いたような、誰とでも仲良くなれそうな完璧人間。でも、八幡や雪乃のようなぼっち組とは、どうしても相容れない部分がある。
孤独に苦しむ小学生の女の子・留美とのあれこれを通して、両者の違いが改めて浮き彫りになりました。
簡単な問題ではありません。気軽に手を出していい問題でもない。でも実際に何かしなければ変化はない。
そこで、どんなひどいやり方であろうとも、自らの考えに基づいて行動に持っていくことができた八幡はやはり特殊なのだなあと感じました。スペシャルですね。別に褒めてはいません。だって本当にひどいもの、この作戦。
不良が犬を助けた理論で、まるで八幡がヒーローのように見えてしまうかもしれない(間違ってもそんな風に思ってしまってはいけない!)と身構えていましたが、そんな心配は不要だったようです。
ひとつ言っておくなら、必ずしも葉山が間違っていたわけではないのでしょう。ただ彼の場合、自分とは違う生き方で生きている人がいるということが、理解できていなかったのかもしれません。


例のごとく思わせぶりな終わり方で、次巻へ。全体的に振り返ると、学校外の番外編という感じで、今までとはまた違う楽しさがあったと思います。
雪乃が順調に存在感を増している影で、結衣もちゃんと頑張っていて嬉しい。八幡がどう思っているのか知りませんが、もっと押せ押せの方が小町的にポイント高いんじゃないかな!
葉山と雪乃の過去など、気になる点がまたちらほら。次は雪乃がメインになるのかな。楽しみです。


鳥取県が1位じゃない、だと……。中学校からやり直してきます。結衣と一緒に!