まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd

ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd (このライトノベルがすごい!文庫)

ストーリー
ノアの方舟”へと潜入したロゴたちだったが、凛子の罠の前に、由沙美は倒れてしまう。
絶体絶命のロゴを救ったのは、一度は敵として対峙した幼なじみ、成美だった。
戦いの中で明らかになってゆく凛子の真の目的、そして最大最後の敵がロゴの前に姿を現す……。



4巻から続く上下巻構成の下巻。母親にしてラスボス・凛子との戦いが、いよいよその幕を開けました。
前巻ラストで華麗なる再登場を果たした成美さんが格好良すぎて惚れる。というか前巻の時点で惚れてた。ほんとねえ、あの引きはずるいと思うんですよ。イラストも込みで。
1巻であれだけぶつかった相手、けれど同時に、ロゴの大切な幼なじみで、由沙美の「お母さん」である成美と、こうやって肩を並べて戦う。ううん、熱い! ラスボスとの戦いには、やっぱりライバルが助けに来なくちゃね。
だってあのゼムトとムジカが両方揃っているんですよ。どんな敵が相手でも、悪いけど負ける気がしません。


一方のキツネも、生き埋めとなったトンネルの中で彼女なりの戦いを繰り広げていました。
コトモノと人間との確執はやっぱり深くて、なかなか埋められない溝があって、こんな緊急事態であっても、誰もキツネのことばに耳を貸さない。
そんな中でひとり、瑞希に声をかけ続け、そして皆を助けるために実際の行動に出ることのできたキツネは、本当に勇気がある子だと思います。
めんどくさい立場とかしがらみとか、複雑な思いなんかを抱える大人たちがどこかに置き忘れてきてしまった、まっしぐらな若さのパワーがそこにはありました。
女の子がこんなに頑張っている姿を見せられたら、そりゃあ周りの心も動かされようというものです。悪態をつきながらも、コトモノと人間が協力するさまには、なかなか感じるものがありますね。


相変わらずおいしい役割を当てられているのが“赤の女王”こと蒼奈さん。いやはや、さすがはラピスの代表というべきか、色々な陰謀を巡らせているものですなあ。
ほんとね、このキャラ大好きです。あれだけ多方面で色々やっておきながら、自分は一女子高生の顔して悠々と駄菓子屋の店先に座ってるんですよ。めちゃくちゃクール。
ラピスのメンバーとの関係もいいですよね。「駒」なんて呼びながら、その実、彼女自身もメンバーのことを信頼しているのだということがよく伝わってきます。
不破さんもまた、いいところで出しゃばってくるよなあ。ふたりの皮肉のきいたやり取りがまた素敵なんだ。


この作品を読んでいていつも思うことですが、最初は雑多にごちゃごちゃしていたものが、ラストへ向けて一気に収束していく加速感が魅力的なんですよね。
今回の場合でいうと、キツネがバスの外に出たこととか、成美の雄叫びとか、そのあたりでしょうか。いやあ成美イカしてるわ。第二の主人公だわ。
ロゴというキャラ自体、そういうところがありますよね。ずっと悩んだり、つまづいたり、戸惑ったり、留まったりしたけれど、最後にはきちんと、彼自身の思いを貫き通す。そのために走る。戦う。叫ぶ。
ロゴと凛子との、敵対する者同士、しかし同時に母と子としての会話がまた良かったです。立場は真逆にあっても、やっぱり親子なのだなあとしみじみ思いました。


物語は大団円を迎え、ひとまずは、ここでいったんの終わりを迎えるようです。
あとがきによれば、完結ではなくてまだ先もあるということですので、いつかまた続きが読めることを期待します。ラング・バンの謎なんかもまだ残ってるしね。
5巻は由沙美の出番があまり多くなかったので、次は由沙美とロゴのイチャイチャがぜひ読みたいですね!


キツネ周辺の会話でどこかに「タ」が入っているミスがあるんじゃないかと目を皿のようにして見ているのだけれど、やっぱり見つからなくて無駄に悔しがってる。