まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

そんな遊びはいけません! 〜君がいると風紀が乱れる〜

そんな遊びはいけません! (MF文庫J)

そんな遊びはいけません! (MF文庫J)

ストーリー
天楼学園唯一の風紀委員なのに、気が弱くてうまく生徒たちに注意することができない星河時政。
そんな彼はある日、通学中の電車で痴漢に遭ってしまう。
しかも犯人は、才色兼備のクラス委員長・真城希で……。



岩波零先生の新作ラブコメ。前作がとても好きだったので手に取りました。
出だしからメインヒロインが主人公に痴漢をはたらくというインパクト。イラストも付いているのですが、希の火照った顔がひどい。あ、これリアルで危険な人だ。実際に犯罪だし。
いくら可愛い顔をしてるからって、何をしても許されると思うなよ! まあ、可愛いから許すけど!
短めのお話をいくつも詰め込んだ構成。今回はエピローグを除いて12話ですか。
全体的に読み口は軽く、会話もテンポが良くて楽しく、さらさらと読み進めることができます。
ほぼ唯一の常識人である語り手の時政と、変態的なヒロインたちが織り成すギャグ会話には、時にくすくすと、時にげらげらと笑わせてもらいました。色ボケじみたヒロインたちの発言に対する時政のツッコミは、なかなかに秀逸だと思います。


ヒロインその1・希は、品行方正学業優秀な完璧美少女ながら、なぜか時政の身体に触れると脳内桃色暴走状態に陥ってしまう女の子。
上にも書きましたが、正直言ってかなりの危険人物です。愛情表現として“触る”というのは必ずしも間違っていないのかもしれませんが、いくらなんでも電車の中はまずいですね。やるなら時政とふたりきりのときだけにしなさい。
時政とは幼なじみのようですが、これまでよく補導もされずに過ごしてこられたものだと感心してしまいます。それともなんだ、高校に入って急に暴走するようになってしまったのかな? お年頃だから仕方ないね!
ヒロインその2・明日奈は、イライラするとつい自分の携帯電話を遠くへ投げ飛ばしてしまう女の子。これだけ書くともう、わけがわからない。
希とは違って、ちょっとサディスティックな攻め方で、これまた結構な危険人物。
というか希といい明日奈といい、惚れたら一直線過ぎやしませんか。もうちょっと、こう、段階というものを踏んでみてはどうでしょう。無理ですか。そうですか。
どちらの女の子も、理解できない部分もありつつ、それぞれに可愛いところがあって甲乙付けがたい。
とりあえず、時政は一刻も早くこの子たちの気持ちに気付いてあげるべきですね。放っておいたらだめだ。危険だ。


時政の姉2人と妹2人も魅力的なキャラでした。全員にブラコンの気があるのはどう考えても異常ですけど。教育方針どこかで間違えてませんかお父さんお母さん!
一番出番に恵まれているのは次女の夏帆ですね。生徒会長として弟の活動を見張り、希たちをけん制してます。ところどころで希にも負けないくらいに暴走しかけるのが面白い。
長女・春絵、三女・秋乃、四女・冬香はまだほとんど出てきていませんが、すでに際立ったキャラの影が垣間見えます。
特に秋乃ちゃんはこのまま順調に活躍の場を増やしていっていただきたい! あのサービスシーンは大いに興奮いたしました。ごちそうさまです。
そんな遊びはいけません? いいえ、どんどんおやりなさい。


イラストは皆村春樹さん。痴漢のシーンを始めとして、恍惚とした表情のヒロインがとてもいいですね。
次回は星河4姉妹のイラストもたくさん見てみたい。特に今回出なかった冬香ちゃんに期待。


実の姉が体を拭こうと提案してきた場合、普通は断るものだと思うんですよ、時政さん。