まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ(5)

ストーリー
新しく学生寮管理人に着任した、鷹ノ宮家のご令嬢にして秋人の婚約者・鷹ノ宮ありさ
学業優秀、家事万能で、しかも愛らしい彼女は、生徒会の面々からも寮の管理人として受け入れられることに。
しかし唯一、秋子だけは、兄の婚約者である彼女をどうしても認めようとせず……。



魔法も異能も登場せず、これといってストーリーに山や谷があるわけでもなく、淡々と日常が過ぎていくだけなのに、不思議と面白いんだよなあ。
毎回、何の気なしにページをめくっているだけなのだけれど、気付くとほとんど休まずに読み終えてしまっている。
読んでいるうちはあまり意識していないのですが、やっぱり会話劇が上手いのだと思います。テンポに乗せられてぐいぐい読み進めちゃう。


前巻ラストで登場を果たした新ヒロイン・ありさ。ううん、ロリロリしいですなあ。
まだ12歳のお子様ということで、このくせ者だらけのヒロイン陣の中でどれだけやっていけるのかと思いきや、意外とあっさり順応。小さくて可愛いものを愛でる気持ちは皆一緒ということのようです。仕方ないですね。実際に可愛いんだもの。
いや、本当に可愛いですよこの子。最初の「にいさま」だけでやられてしまいました。なんだこの破壊力。たまりませんです。
コロコロと表情が変わるところも子供らしくて微笑ましい。イラストがまたずるい。この上目遣い+涙目には耐えられない。そりゃあ秋子だってたじたじになるってもんですよ。


と、大いに私を悶えさせてくれたありさではありますが、ヒロインとしては秋子の圧倒的優位に変動なし。
逆に、婚約者というライバルが現れたことによって、さらに彼女の独走っぷりが明らかになった感さえあります。
ありさだけじゃありません。今回もちゃんと、アナスタシアにも、銀兵衛にも、会長にも、それぞれのターンが用意されていましたが、やっぱり秋人はどう見てもシスコンでした。気付いていないのは秋人と秋子の当人同士だけっていうのがまた。たちが悪いですよねえ。
秋子は、常に秋人に対して本気だというところが最大の魅力だと思います。だからこそ、ありさに対しても本気でぶつかったわけだし。
秋子とありさのコンビはとてもいいですね。子供相手に大真面目にライバル宣言をかましちゃう大人げない秋子、そんな秋子に懐いて仲良くなろうと必死にアピールするありさ、どちらも頭を撫でたくなるような愛らしさでした。
このふたりが手を組んじゃったものだから、ああ、これはもうダメですね。正直、欠片も勝てる気がしません。
アナスタシアや銀兵衛にもそれなりに頑張ってもらいたいのですが、いよいよ厳しくなってきたんじゃないかなあ……。


今までは秋子vs女3人だった関係が、ありさが加わったことによってまた一層面白くなったのではないかと思います。
次巻以降もこの調子で、色んな物を引っくり返していってほしいですね。
そして秋人。君はそろそろ、ちょっとは素直なところを見せてもいいんじゃないかなあ。


不意打ち気味だったこともあって、銀兵衛の猫はなかなかいいものでした。にゃお〜う。