まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

本日の騎士ミロク10

本日の騎士ミロク10 (富士見ファンタジア文庫)

本日の騎士ミロク10 (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
ベトの参戦により状況が一変した連合軍だったが、第八国が送り込んできたゾンビの大軍に苦戦を強いられる。
さらに第八国は“魔法を無効化する”という前代未聞の大魔法を発動。
得意の魔法が使えなくなり、恐慌に陥る連合軍の兵士たちだったが……。



第10巻にして完結。第八国との最後の戦いが描かれます。
相変わらず、バトルやアクション自体は薄味気味なのだけれど、物語の展開は非常に熱い!
オウガンやツッキーニだけではなく、最終的には藍山やエルガンディアまで加わった大陸連合軍。
今まで敵対していた国々が力を合わせ、大きな脅威に立ち向かう。ひとつの魔法を持った国同士が協力すれば、ふたつを合わせた以上の力が生まれる。盛り上がるなあ。
それは、第八国のシステムによって魔法が使えなくなって、より一層明らかになりました。魔法がなくても、彼らには戦う力があったのですね。
魔法を失って絶望する人々が、それぞれ自分の足で立ち上がり、また戦いへと赴く姿に、何度も胸が熱くなりました。
いつか出てきたあのキャラもこのキャラも登場してきて、それぞれの活躍を見せてくれます。顔を見せただけで終わってしまうようなキャラも結構いたのが惜しい。ページ数は限られているから、仕方ないけれど。
もちろん、キャラたちの中心には赤目隊の面々、ミロクとジュジュがいます。ミロクさんたら、あの頃は一介の騎士に過ぎなかったのに、いつの間にかこんなに立派になってくれちゃって、まあ。今となっては国の代表ですよ。
オウガンの将軍になっても、中身はほとんどそのままだし、彼が赤目隊の一員(正確には元)であることには変わりないんですけどね。
周りに助けてくれる人がたくさんいるから、ミロクは戦える。それは、地位がどれだけ上に行っても同じことですよね。


そんなミロクが誰のために戦っているのかといえば、もちろんジュジュのため。
姫と騎士という関係だから守る、それだけではありません。好きだから、愛しているから守る。分かりやすくていいじゃないですか。
戦っているのは、何もミロクだけではなくて、ジュジュだって自分にできることを全力で行ないました。戦況に与える影響は、ジュジュの方が大きいかもしれない。
ミロクと一緒に最前線を歩くというのがまた、彼女らしくていいですね。ジュジュが、ただ守られているだけのお姫様じゃないということを改めて気付かせてくれます。
ジュジュが近くにいるから、ミロクは強くなれる。ジュジュはミロクを信じて共に歩む。かあーっ! 熱いですねおふたりさん!
もう、好きあっていることを隠そうとさえしていないもんなあ。一国の姫と王子としてそれでいいんでしょうか? いいのか。いいよね。


終わり方も良かったです。でもこれは、なんとも続きが読みたくなりますね……。
恒例のキャラあとがきは、完結記念のお祭りという感じで、大いにニヤニヤさせてもらいました。でもやっぱりまだ、少々の物足りなさが残ります。
まだ書籍化していない短編も残っているようだし、ミロクとジュジュのイチャイチャももっとたくさん見たいし、後日談含む短編集が出てくれたら嬉しいなあ。


まさかあの決め台詞に痺れる日が来ようとは。不覚。ところであのニンジン、何日くらいで入れ替えてるんですかね。