まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

@HOME(2) 妹といちゃいちゃしたらダメですか?

ストーリー
血の繋がらないきょうだいたちにいつもべったりな倉須家の三女・芽々子。
そんな妹に振り回されっぱなしの兄・響は、ある日、芽々子が連れてきた彼女の友人三人に引き合わされる。
友人たちはそれぞれ、新たに芽々子の兄となった響を値踏みしようとしているらしく……。



ダメなわけあるか、どんどんやれ! さあもっと! ……おっと、取り乱しました。
なかなか出ないなあと待ち続けているうちに、いつの間にか1巻から14か月も経っていたんですね。
内容も少し忘れ気味だったのですが、それでも読み出したらすぐに、キャラや設定のことを思い出しました。それだけ印象深い作品だったのでしょう。
きょうだい7人、全員の血がつながっていない家族もの、なんていう時点で、既にかなり変わっていますもんね。
リリィ姉さんや芽々子ちゃんがとても可愛いので、家族の垣根を超えた恋愛へ発展するんじゃないかと、期待半分不安半分で読んでいるのですが、そこの芯はブレずにしっかりと「家族」を描いていると思います。
読み口もわりと軽いし、ページ数で見ても薄めなのに、1冊読み終わってみると結構な満足感があるのが凄い。
ほのぼのストーリーに見えて、意外とこまめに伏線が張られていたり、それがいつの間にか回収されていたりするので油断できません。


副題のとおり、今回のメインは響の「妹」・芽々子ちゃん。兄をはじめ、家族にべたべたひっついて回る家族依存症っぷりが実に可愛らしいけれど、ちょっと前まで赤の他人だった響には色々と思うところがあるようで。
実の妹だったとしても気になるくらいの行動ですから、そうでないとなればなおさらですよね。その上美少女ときてる。理性を保っていられる響の方がむしろたいしたものです。
そもそも、響はたったの3か月で、よくもまあこれだけ家族として馴染めたもんだなあと。
そんなに簡単にきょうだいであると納得できるものなのか、もしくは響が飛び抜けて単純なのか、はたまた倉須家の環境が特殊すぎるのか、理由は分かりませんけれども、響はすっかりきょうだいの一員として、倉須家に溶け込んでいました。
緊張せず、気兼ねもせず、安心して過ごせる人の輪があるということは、それだけで素晴らしいことだと思います。


ちょっとしたことから起こってしまったすれ違い。そこから浮かび上がる、芽々子ちゃんの過去と、家族依存症との関係。
天真爛漫でいつもぽわぽわしているような芽々子ちゃんも、こんな過去をずっと抱えていたんですね。
きょうだいとしての響とリリィ姉さん、友人としてのみょーりん、ゆなっち、こっちゃん。
誰もが芽々子ちゃんを大切に思っていて、だからこそ譲れない部分があって、つい勘違いや思い込みをしてしまう。
でも、周りで言い合っているだけではやっぱり何も解決できません。大切な思いがあっても、届けなければ伝わらないのですから。
妹へ向けた響のことばはなかなか格好良かったです。すっかり、兄としての貫禄がついてきましたね。
もちろん、リリィ姉さんは安定のクールビューティー。最後にちょっと珍しい顔も見せてくれましたが、それがまた魅力的でした。


さて、次はどのきょうだいにスポットが当てられるのでしょうか。順序良くいくなら稜くんですかね。
きょうだいのことはもちろんだけれど、さらに気になるのはみょーりんのこと。
ただの芽々子ちゃんの友だちじゃなかったんですね。響との関係は一体。ああ、続きが待ち遠しい。


妹の友だちから連絡先を聞かれる、なんて、そんな夢を見ていたこともありました。