まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

パンツブレイカー

パンツブレイカー (一迅社文庫)

パンツブレイカー (一迅社文庫)

ストーリー
「半径2メートル以内に近づく者の下着を消し去る」という能力“パンツブレイカー”を持った少年・汐正幸。
政治団体や宗教団体に狙われる受難の果てに、妹の美幸とともに特殊学校法人「国立醍醐学園」へとやってきた。
そこは正幸のような特殊な事情を持つ生徒だけを通わせるための学園で……。



タイトルだけでオチてるよなあ、とか思っていたら作者もあとがきで同じことを書いていて噴きました。
とはいえ、ううん、いざ読み終わって、改めて眺めていると、そこはかとなくスタイリッシュでクールなタイトルに見えてくるから不思議。
アルファベットで書けばPants Breakerですよ。え、何このタイトル、超かっこいいんですけど……(洗脳)。


正幸は、自分から2メートル以内に近づいた者のパンツ・ブルマ・下穿き等を全て消し去ってしまう能力の持ち主です。
ある意味では危険極まりないけれど、他のバトルものに出てくるような主人公に比べれば、何もできないと言っていいくらいの力。
でも、彼はその力のせいで、ずっと周囲から疎まれ、避けられてきました。
そもそも能力のある人間自体まだ珍しい存在なのに、「近づいたら無条件でパンツが消える」なんていう変態じみた力なんだから当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
でも彼と、そして妹・美幸の凄いところは、この力で他人に迷惑をかけないように本気で考えて、行動していること。
ずっと避けられてきたからこそなんでしょう。他人に近づいたり、逆に他人が近づいてきたりしないように、細心の注意を払っている。まあ、近づいてきたとしてもただパンツが消えるだけなんですけれども!
この兄妹の態度を見ていると、この能力で今まで本当に悩み抜いてきたんだということが分かるんですよね。
あまりに突飛な設定だから、てっきりお色気特化したエロコメディなのかと思っていたのですが、意外にも、真面目にこの能力について考え、深く追求していました。この真面目さと、パンツを消すというおバカな能力とのギャップがなんとなくおかしい。
もちろん、せっかくこんな素晴らしい能力があるのだから、そっちのハプニングだってちゃんと用意されています。
なんでしょうね。この、パンツだけが消えてしまうということの、なんとも言えぬ背徳感。大変にエロエロしかったです。ごちそうさまでした。
能力のせいで見慣れているのか、正幸がそれほど反応を見せないのが面白い。どれだけラッキースケベに遭遇してきたんでしょうかこの男は。


影那も瞳も、ついでにサンダーも、さらについでに美幸も、それぞれ魅力的な女の子でした。影那はさすがのメインヒロインの貫禄でしたが、ハプニング的に一番おいしかったのは瞳かも。
人を避けて生きようとする正幸に近づいてきてくれる美少女たち(ノーパン)。いやあ、色々と妄想膨らむシチュエーションじゃないですか。
いっそ18禁で出してくれという思いもあり、そこまでいかないからこそ美しいのだという思いもあり、ああ、悩ましい。
まだ物語は始まったばかりですから、これからこのヒロインたちとの関係がどうなっていくのか、実に楽しみですね。


イラストは丸ちゃん。さん。見えそうで見えない。しかしエロい。あと正幸が無駄に格好良い。
影那はもうちょっと、無表情に描いてくれても良かったんじゃないかなと思います。


一番いい立ち位置は正幸の隣の親友ポジションなんじゃないか説。クラスの男子がなぜ誰も立候補しないのか、理解に苦しみますね!