まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

ストーリー
友達もなく、彼女もなく、しかし孤独に負けず、青春を欺瞞だと切って捨てるひねくれ高校生・八幡。
そんな八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学校一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」だった。
腐った根性を叩き直すべく、奉仕部での部活動を命じられる八幡だったが……。



「みんな読んでるから読まなくていいか」とか思ってずっと避け続けて来たけれど、知り合いから読め読めと言われ続けた結果、遂に捕まってしまいました。天邪鬼ですみません。
正直甘く見てました。抜群に面白かったです。もっと早いうちに素直になっておくべきでした。
腹を抱えて笑うわけでも、盛り上がりに手に汗握るわけでもないけれど、なぜか引き込まれる。
色々と考えさせられる内容であるだけに、もっと味わって読みたいのに、先へ先へと気が急いて、どんどん読み進めてしまいました。
主に、軽快でセンスのある会話がそうさせるのでしょうが、それだけではこんなに心を掴まれないんじゃないかとも思います。
読ませる力がある物語は大好きです。ううむ、うまい。


主人公・八幡がとても魅力的ですね。ぼっちで友達がいない主人公は数あれど、八幡ほど一貫して、スタンスを崩さないキャラは珍しいのではないでしょうか。つまり、彼が一貫して残念だということでもありますが。
なぜか、八幡には共感を覚えることが多いのですけれども、それってどうなんでしょう。ああ、彼に近い性格と経験をしているということか。傷ついた! 深く傷ついたよ!
特に、彼の自虐ネタはなかなか胸に突き刺さるものがありました。
面白いからついつい笑ってしまうのだけれど、それと同時に心に傷を負います。やらかした思い出って、多分誰にでもあるよね……。
自分の孤独を正当化しようと、ニヒルっぽく振る舞っている八幡。
本当の一人狼なら、他人のために何かしてあげようなどとは考えないわけです。でも、彼は何度も、自分から他人に手を貸す姿勢を見せている。
どれだけ一匹狼を気取っても、本来の優しさは行動ににじみ出てくるもの。なぜ今まで友達ができなかったのか不思議なくらいです。
彼の言動を見ていると、青春を否定しながらも、友達が欲しくないと思っているわけではないんですよね。
ただ、わざわざ自分を偽ってまで友達を作ろうとはしない。自分に正直に生きている。これは雪乃にも通じることですけれども、あるがままに生きられる人は、それだけで、それなりに格好良いと思います。


雪乃も結衣も、甲乙付けがたく可愛らしかったです。高嶺のエーデルワイスか野原のコスモスか。そんな感じ。
対照的なふたりではありますが、そんなふたりの間にいつの間にか生まれていた感情が微笑ましいですね。
ヒロインとしては、ううん、結衣の方が一歩先へ行っているような気もしますが、お話はまだ始まったばかり。
ブコメの神様がこれからどんなことをやってくれるのか、実に楽しみです。
彩加? うん、あの子はいつまでもあのままでいてください。


イラストはぽんかん(8)さん。1冊の中でだいぶ絵柄が変化するのが面白いですね。
結衣のバストをもっと強調した1枚を所望したい……。


雪乃への「先生からのコメント」には思わず噴き出しました。ごめんなさい。