まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

神童機操DT-O phase01

神童機操DT-O phase01 (講談社ラノベ文庫)

神童機操DT-O phase01 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
突然【謎のテロ組織】による攻撃に遭った汀宋市。
高校生・天童貞臣は、混乱の中で、空から巨大な人型兵器が降ってくるのを目の当たりにする。
ある“条件”を満たしたものでないと操縦不可能なこの機体に成り行き上搭乗し、見事敵を撃退してみせた貞臣だったが……。



第1回講談社ラノベ文庫新人賞<優秀賞>受賞作品。
てっきりネタかと思っていたのに、大真面目にロボットものやってました。めちゃくちゃ格好良い表紙からも、それが分かるかと思います。
「童貞だけが乗れるロボット」設定もしっかりストーリーの中で活きていて、タイトルだけでギャグと決めつけてしまったことを反省しきり。
童貞の熱き心、童貞の固き信念、童貞の溢れる愛をしかと感じさせてくれる、燃えるロボット作品でした。
……こうやって文字に起こしてみると、やっぱりギャグに見えてしまうところが、なんとも心苦しいところです。
とりあえず、【Artemis】側ではとことん「童貞」「処女」に関係した単語を、【Aphrodite】側ではとことん「性交渉」に関係した単語を並べているところに、作者の深いこだわりを感じました。素人用にはさすがに噴いた。


未だ未経験であることを示す“タグ付き”の少年・天童貞臣が主人公。
名前に刻まれた「童貞」の文字。しかし彼は、自分の心に従って、この名前を変えずにこれまで生きてきました。
周りからなんと言われようとも、彼は自信の名前に誇りを持っています。この名前と共に戦っていくことを決意しています。
彼の主人公たるゆえんは、「自ら決めること」にありました。
いきなりロボットが降ってきて、童貞だから乗れと言われ、敵のロボットと戦う。
流されているだけにも見える行動ですが、決して強要されたわけではありません。貞臣は自ら、ロボットに乗り込み、そして戦ったのです。
彼を突き動かすものは一体なんなのでしょう。過去に罪の意識を抱える貞臣ですが、彼の原動力はそれだけではないように思えます。
生まれたときから培われてきた、貞臣自身の決意、信念、そこに「守る」ということが加わって、彼は戦い、そしてヒーローになりました。
ううん、熱い。まさに燃える主人公。ロボットものには詳しくないのですが、なんとなく「これでこそ」という気がしています。
熱いのは主人公だけではありません。周りの人たちも、それぞれのたぎる思いを胸に、それぞれの人生を生きています。
中でも、貞臣と神楽、そして貞臣と間坂の関係は良かったですね。同じ信念を持つ者として、もしくは腐れ縁を続けてきた悪友・親友として、相手を信頼しているからこそ、思いを全力でぶつけ合って、共に先へ進もうとしています。
このエネルギーはなんなんですか。童貞同士だからですか。童貞ってすげえな!


こちらに信じるものがあれば、敵にも信じるものがあります。
単純にロボットの性能と操縦技能だけで戦っているわけではありません。彼らはその思いの強さを戦わせているのです。
バトル中の台詞は、敵味方関係なく、いちいち格好良くて痺れました。貞臣とDT-OのナビゲーションAIのやりとりが、個人的には一番好きです。
一段落はしたものの、まだまだ戦いは続きます。愛沢さんとのことも気になるし、早く続きが読みたいですね。


さて、プラモデルはどこのメーカーから出るんですかね?