まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

機巧少女は傷つかない7 Facing "Genuin Legends"

ストーリー
<迷宮の>魔王グリゼルダのもとでの修行で実力を上げた雷真は、ロキやフレイとともに順当に夜会を勝ち進む。
しかしそんな折、シャルが何物かの呪いを受け、人形サイズに小さくなってしまうという事件が起きる。
さらに雷真は、学生総代にして<十三人>の第三位、オルガ・サラディーンにいきなり迫られ……。



夜々かわいいよ夜々(挨拶)。
毎回言っているような気もするけれど、巻が進むごとに本当に面白くなってきていますね。
新しい敵が出てきては倒す、というだけではなくて、その中でしっかり雷真や夜々、ロキやフレイの成長が見えるから、バトル続きでも飽きが来ません。
もちろん、キャラ同士の関係が変化していくのも楽しみのひとつだし、前の巻で登場したキャラがふと再登場してくる展開もおいしい。
ストーリー序盤での伏線がようやくつながった、などということもちょいちょいあって、長く物語が続いてきたからこその面白さが、ここにきて表れてきたのじゃないかと思います。


夜会に残る<手袋持ち>も残り40人ほどになりました。え、いつの間に……。
1巻や2巻の頃は、終わるのに一体何年かかるんだというようなペースでしたが、知らないうちにこんなところまで来ていたんですね。
前巻での修行の成果を存分に発揮して快進撃を続ける雷真と夜々、それぞれ力を伸ばしていたらしいロキとフレイ。
<下から二番目>とはなんだったのかと言わんばかりの戦いぶりは、見ていてとても気持ちがいい。
ロキとのコンビもすっかり板についてしまいました。表面だけの悪口漫才はもはや恒例行事ですね。
フレイの成長には特に目を見張るものがあります。まだその本領を見せてはいませんが、これからの活躍に期待したいところです。


今回のヒロインはオルガ……ではなく、アリスさん。4巻以来の登場になるのでしょうか。
正直それほど印象の強くないキャラだったのですが、改めて出てきた彼女は実に魅力的でした。
敵なのか味方なのかいまいちつかみきれないミステリアスな色気。危険な女の子に翻弄されるのって、いいよね。
これまでは裏で陰謀をめぐらせる抜け目のなさを披露してきたけれど、実の父である学院長を前にして膝を屈しかけてしまうアリス。
かつての敵だとか、今も脅迫されているとか、そういうことを抜きにして、迷わずそんなアリスを助けられる雷真さんは、やっぱり天然のたらしだと思いました。
4巻でのことを考えると、単純に割り切れるものでもないでしょうに。雷真だけではなく、シャルやロキやフレイまで同じなのだから、人がいいやつらばっかりです。
まあ、雷真が、自分の気持ちに素直に従って、こうやって突き進んできたからこそ、彼の周りにはこうやって人が集まるのだろうと思います。
かつての敵のために戦うのってとってもいいですよね。もう負ける気がしない。


かと言って、そう簡単には行かせてくれないのが学院にうごめく化け物たち。
十九世紀最強の魔術師と先代魔王の戦いとか、なにこれ熱すぎる。普段の雷真とのやりとりを見ていると忘れそうになるけれど、お師匠様、やっぱり凄い人だったんですねえ……。
そして雷真は因縁の相手との対決へ。奥の手を出して立ち向かった雷真ですが、いやあ、ラスボスは格が違うなあ!
とはいえ、かつての対峙の頃に比べればずっと戦えるようになっていて、これからの可能性を示してくれました。
壁は未だに高くそびえ立っているけれど、いつかきっと、この男を打ち倒せるときが来ると信じたい。
雷真とロキを止めようと、遂に動き出した<十三人>。いよいよ夜会もクライマックスが近づいてきたという予感がします。
ますます激化するであろうバトルの中で、雷真たちがどのように戦っていくのか、今から楽しみでなりません。


色々ひどいことをやってきたアリスですが、シャルの人形化(そして解呪の方法)は素晴らしいやり口・アイディアだったと思います! 早くフィギュア化を頼む。
あと、最強の萌えキャラは実はシンなのではないか説浮上中。