まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

さくら荘のペットな彼女6

ストーリー
今年度限りでさくら荘を取り壊すという理事会の決定を突きつけられた空太たち。
納得できない一同は、学内で撤回の署名運動を行うことに。
そんな中、七海のオーディション結果と空太のゲーム企画の合否がついに発表されて……。



美咲・仁の卒業式編。もしかしたら最終巻かとも思ったけれど、まだ続くようです。


さくら荘が取り壊しになると知って、激しい怒りを見せる空太。
率直に言って、このあたりの空太はあまりに青すぎてちょっとついていけないところがあります。
これが高校生の若さのパワー? いや、ただのかんしゃく持ちにも見えるけれど。
住むところがなくなるのならともかく、一般寮にそのまま移り住めるということだしなあ。いつの間にここまで愛着を持っていたのやら。
いつも冷めた口調で、分かったようなことを言って苛立たせてくれる龍之介ですが、今回ばかりは彼の言い分が正しいように思えました。
なんでさくら荘に固執するのか。あ、ましろの世話ができなくなるからですか。それなら分かりますけど。
もっとも、取り壊しの“真の理由”が分かった以上、話は別ですね。ましろのために頑張るんでしょう。実に分かりやすい。


署名運動では、ましろと龍之介の活躍が印象的でした。
ましろが、空太たちについて回るのではなく、自分の考えで行動して、逆に空太を引っ張っていくようにさえ見えて、じんとします。
もっともその裏には、自分のせいでさくら荘がなくなってしまうのだという負い目があるのでしょうから、それを思うと、あの無表情に隠れた悲愴な決意が見て取れるようで、胸が痛むのですが。
龍之介は見事なツンデレっぷりでした。全て理屈で考えた上で、それでも敢えてこの選択をして、誰にも知られずにある程度の成果を挙げてみせるところに、龍之介の格好良さがあります。
リタの出番がなかったのが実に残念でした。こんな姿を見たら、さらに惚れ直したでしょうに。


なんとなく予想はついていたけれど、うまくいかないものだなあ。
これで打ちのめされてしぼんでしまうのか、さらに先へ進もうとするのかは人によって違うのでしょう。どちらでもいいのだと思います。
彼女は強い子でした。自分を偽って我慢することさえできてしまう、危うい強さだけれど、寄りかかることのできる人が近くにいるならきっと大丈夫。
それにしても、空太はいい立ち位置にいますね。空太自身が負け続きで、それでも進み続けているからこそ、そこにいられるのかもしれません。


来たる卒業式。美咲の答辞は、彼女らしい素敵なスピーチでした。今までのことを色々と思い出しますね。
いくらなんでも教師陣に理解がなさすぎると思いますが、まあ分かりやすい敵役としてはちょうどいいのかな。
あそこで前に出られる空太はやっぱり凄いよ。凄く青いよ。いやあ、青春してるなあ。
仁は遠くへ行って、美咲もさくら荘から離れ(?)ました。
ましろは、新たな、そして重要な事実に気付きました。
気分は一新、メンバーも一新のさくら荘。これからの物語、特に恋愛方面の展開に期待です。


メイドちゃんが出てこないと何か物足りない……。