まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕は友達が少ない ゆにばーす

僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)

僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)

ストーリー
行きつけの本屋で、少し変わった女の子・レイシスと衝撃的な出会いを果たした美幼女・羽瀬川マリア。
兄・小鷹と共に理科の家で遊んでいたマリアは、街に突如巨大な怪物が現れ、あたりを破壊してまわっているのを目撃する。
その怪物の肩にレイシスの姿を見たマリアは、彼女と話をしようと試みるが……。



アニメ放送に合わせてということなのか、まさかの公式アンソロジー。
普段はアンソロジーなんてほとんど読まないんですけれど、この作家陣とイラストレーター陣を見た瞬間に買うしかないなと思いました。なんだこの豪華ラインナップ。
まず、原作者が堂々と名前を連ねている点につっこみたいところです。アンソロジーってそういうものだったっけ……?
「本編とは関係ないifの物語です」との注釈がありますが、まんま本編に載っていても違和感がないくらいの作品揃いで、満足満足。
いや、ひとつだけ明らかにおかしい問題児がいるなあ、と思ってみたら【著:平坂読】の文字が。これはひどい


裕時悠示先生の作品「『ふふん夜空、あたしに友達ができたわ!』『あ? ぞ?』」は、星奈に友達ができる(!)話。
ひとりで舞い上がって空回りして、何も気付かずに踊らされている星奈が本当に不憫でした。切ねえ。
調子に乗った星奈さんが実に痛々しくて最高です。これは普通の人ならびびる。小鳩じゃなくても逃げたくなりますね。
夜空は本編よりもよっぽどいい奴に見えて笑ってしまいました。星奈のために大真面目にこの文面を考えたのかなあと思うとニヤニヤしてしまいますね。
本編設定と齟齬が出てしまったそうですが、気付けなかったなあ。


渡航先生の作品「ぼっちは変化球が投げられない」は、隣人部メンバーで野球をする話。
いい話にまとまったように見えて、全然いい話じゃない。だからこそ、この作品らしさがある。
絶妙なパロディネタといい、夜空と星奈のいがみ合い具合といい、しっかり小鷹と夜空の過去を絡めてきているところといい、ううん、お見事でした。
それにしても小鷹さん、一人野球はないわ……。それはないわ……。


志瑞祐先生の作品「三二四駆」は、ミニ四駆のパチ物、“三二四駆”で遊ぶ話。
これまた原作でそのまま出てきそうなエピソードでした。懐かしのホビーの数々のパロディがとても楽しい。ダウンフォースは定番のつっこみどころですよね。
理科の技術力は周知の通りですが、さらっと小鳩ちゃんが凄いことやってて噴きました。良い子はまねしちゃいけません。


さがら総先生の作品「将棋はとっても楽しいなあ!」は、隣人部メンバーで将棋を指す話。
趣味全開で書かれているなあということがひしひしと伝わってくる内容でした。わざわざ他人の作品のアンソロジーでやらなくても!
よく耳にするものから初めて聞くようなものまで、戦法の名前がたくさん登場して楽しかったです。欲を言えば、ぜひ棋譜付きで見たかったですね。
そしてここでは一人将棋に興じる小鷹さん……。この人地味に、どの作者からも一番残念な人扱いされている気がします。


真打ち・平坂読先生の作品「魔法少女うんこ☆マリア」。もうタイトルだけでいかん。
文句なしに一番暴走しているお話でした。まあせっかくの機会だし、原作者直々に本編のような話を書くよりは、これくらい自由にやった方が楽しいですよね。
とはいえ、最後にやってきて、結局原作者が全部持ってっちゃうんだから、ずるいよなあ!
7巻の小鷹&理科のやり取りをこんな風にネタにして持ってくるとは思ってもみませんでした。笑った笑った。
あとは何と言ってもライトノベルレーベルネタですね。どうやら全部見つけることができたようで、嬉しかったです。マニアックなところまできちんと網羅しているところはさすがのひと言。


イラストはカントクさん、るろおさん、ぺこさん、QP:flapper、ぽんかん(8)さん、桜はんぺんさん、ブリキさん。
各話1枚ずつということで、それほどイラストの枚数は多くないけれど、この面子が揃っているだけでもう十分じゃないですかね。


楽しい企画でした。第2弾があるといいな。