まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺はまだ恋に落ちていない

俺はまだ恋に落ちていない (GA文庫)

俺はまだ恋に落ちていない (GA文庫)

ストーリー
高校生・赤井公は、友人の田所からふたりの妹・恵衣美と詠羅を紹介される。
会ったばかりの彼女たちへの「アタックけん」を田所からもらい、困惑する赤井。
それでも会うたびにふたりと仲良くなっていく赤井だったが、ふたりの仲は最悪の関係で……。



第3回GA文庫大賞<期待賞>受賞作品。庭さんのイラストに惹かれて衝動買いしました。流石の吸引力。


語り手は主人公の赤井。口調が軽快で、各章が短めだということもあって、すらすらと読めますね。
しかしなんだろう。赤井はごく平凡な高校生に見えるけれど、意外と独特なセンスの持ち主のようで、地の文で大真面目に「ガビーン」とか書かれていて噴きました。まあ面白いのでいいんですが。
言動も、普通のようでいてどこかずれていて、ここでその選択をするか! みたいなことが結構ありました。先の予測ができないので危なっかしく、ある意味でヒロインたちよりも目が離せないキャラだと思います。


そんな赤井が、お調子者の友人の引越しを手伝ったら美少女の妹をふたりも紹介されました! ってなんだそれ羨ましい。そんな友人が欲しい。友達の妹って、義理の妹とかとはまた違った良さがありますよね……。
姉の恵衣美は赤井たちのひとつ下の高校1年生で、元気で活発、行動的な、ロングヘアの女の子。進んでちょっかいをかけてくるタイプで、すぐに笑ったり怒ったり、表情がくるくる回って、見るからにモテるんだろうなあという感じがします。
わがままで、自由気ままに赤井を振り回しては迷惑をかけるのだけれど、こんな女の子になら喜んで振り回されたい。むしろ自分から回り始める勢い。もう何言ってるんだか自分でもよく分からない。
妹の詠羅は中学3年生、おしとやかで占い好きな、ショートカットの女の子。詠羅は女子校育ちの箱入り娘だけあって、男慣れしていないから初心で、すぐに真っ赤になってしまうところが本当に可愛いです。
個人的にはぜひ詠羅ちゃんを推していきたい。「赤井様」なんて呼び方されて微笑まれたらもうそれだけで白旗じゃないですかね! ね!
少々興奮してしまいましたが、それくらいにどちらも魅力的なヒロインなんです。両者の仲が壊滅的に悪くて、もう片方のことを話題に出すだけで機嫌が悪くなるところとか実にめんどくさいのですけれど、めんどくさいヒロインは大好きなのでこれはこれで。
性格も趣味も体格も正反対なこのふたりの美少女と、それぞれ接していくうちに、いつの間にか距離が縮まっていって。
タイトルの通り、赤井は「恋に落ちて」いるわけではないのだけれど、一緒にいることがなんとなく楽しい。そんな淡いいちゃいちゃがとてもくすぐったくて、心地よいです。
短めの章ごとにどちらかのターンがやってくるので、どちらのヒロインの可愛さも存分に味わえる構成になっているんですよね。このあたりは上手いなあと思いました。


修羅場とか試練とかをくぐり抜け、さて、赤井は恋に落ちたのでしょうか。とりあえず恵衣美と詠羅との間柄が大きく進んだことは間違いないですね。
これからはどちらかを選んでいく方向に進むのかな? 空河もこのまま黙ってはいないだろうし、恋愛模様はますます複雑になっていく予感。
安藤君とるー子ちゃんの今後も地味に気になるし、続きが楽しみです。


イラストは庭さん。いやあほんと、大好きですね! 場面ごとにしっかりキャラの表情が動いていて、イメージがばっちり伝わってくるんだよなあ。
頬染め詠羅ちゃんに一発ノックアウト喰らいました。


てんてんはか。これは流行る。