まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

生徒会の金蘭 碧陽学園生徒会黙示録6

ストーリー
突然行なってしまった告白に、お互いに驚き焦ってしまう巡と杉崎。
一方の深夏と守は、偶然出会ったつばきをかばいながら街中を逃げ回っていた。
巡のスキャンダルと追われるつばき、ふたつの事件の裏に見え隠れする中目黒の真実とは……?



水際以降、まさかまさかの3連続刊行となった外伝第6弾。
半分以上のページが二年B組編に割かれていて、はて、「生徒会」はどこへ行っちゃったの、という感じ。
生徒会活動と関係ない内容であっても、会長や知弦さんや真冬ちゃんの登場が極端に少なくても、深夏にさえかませ犬臭が漂っていても、「あれ、主人公ってもしかして杉崎じゃなくて中目黒なんじゃね」という意見があっても、ストーリーとしては面白いから困る。
正直言って、プロローグやエピローグで微妙なシリアスをやっている本編よりも、物語としてはずっと好きですね。
短編集や外伝と銘打っているけれど、本編とは切り離して、全く別の物語として楽しめばいいんじゃないかと思います。


「逆生徒会の一存」は、杉崎、中目黒、守が、なぜか秋峰を追加して合コンに再挑戦するお話。
巡の知り合いという(恐らく)マイナーアイドルとはいえ、この世界のアイドルはこんなんばっかりなんですか。夢も希望もないな!
まあ落ち着いて考えれば、アイドルなのに合コンに興味を示す時点で問題があるのは見え見えなんですけど。
この作品はどうも、主人公に据える生徒たちの素晴らしさを見せるあまりに、他の人間を過剰に低く描いているきらいがあって、そのあたりはどうも釈然としないところではあります。
内容としては、さんざん振り回されても、結局最後には友達の味方をする巡の格好良さが光る清々しい一編でした。


「偽生徒会の一存」は、「生徒会の一存」に憧れて碧陽学園に潜入した5人のファン(!)が、それぞれのキャラになりきってオフ会を楽しむお話。
これは凄い。何が凄いかって、主人公のこの人たち、全員生徒会と何の関係もない一般人なんですよね。
こんな話が許されてしまうところに、作品の懐の深さを改めて感じました。
なんだかんだで会話も面白いし。よくできたファンを持って杉崎たちも幸せだなあ。


「二年B組の進級〜決意の章〜」は、二年B組編の最終回。
とにかく巡が可愛い。圧倒的に可愛い。今まで散々寄り道をしてきたけれど、真のヒロインは巡だったに違いない。
今まで予想もしていなかった相手から告白されてあたふたする杉崎との、ニヤニヤ満載のやりとりがたまりません。
一方の守も、ようやく深夏へ想いを伝えることに成功。杉崎も大概だけれど、深夏は守に対して鈍感すぎる……!
いい告白シーンでした。姉や友人たちに比べるとだいぶ地味な守だけれど、このときは立派なヒーローだったと思います。
実はこのシリーズの主人公だったらしい中目黒。過去や未来を見据えて、大きな決断を下しました。
短い期間で本当に成長しましたね、この子は。杉崎にさえ憧憬を抱かせるほどの心の強さに拍手を贈りたい。


今回もなんでもありのごった煮で楽しかったです。
次は本編の方が出るんですかね。あちらの最終回も、そして、「土○」のために用意されているという1年C組編の最終回も、とても楽しみ。


新アニメ化ってもしかして外伝の内容だったりしませんか? しませんか。