まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

お嬢様が、いけないことをたくらんでいます!

お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! (ファミ通文庫)

お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! (ファミ通文庫)

  • ストーリー

陸海空、3人の人外の王を従え、砂を操る異能者である『砂の王』新見祥太郎。
破格の報酬につられ、世界的財閥当主の護衛についた祥太郎は、当主が8年前に別れた幼馴染の星良であることを知り驚く。
しかも星良は、財閥を“潰す”とんでもない計画をたくらんでおり……。


異能力を得た少年と財閥の当主になった少女、ふたりの幼馴染が再会してはじまるアクションラブコメディ。
原作・著の両先生コンビの前作がとても好きだったので手に取ってみました。


一度別れてから再会した幼馴染ヒロイン。最強の属性のひとつだと思うのは私だけでしょうか。
星良は、世界的財閥・式島財閥の当主なのに金持ちが大嫌いな女の子です。
社会的に弱い人々を救いつつ、なんとか散財して、自分の財閥を潰すために試行錯誤していくのはなんとも楽しそう。
どうしたら金をたくさん使えるかなんて、一度は悩んでみたいものですね。
当主なら自分の思うがままに使えそうなものだけれど、意外とそうでもないもので。
嫌味で傲慢な金持ちたちの中、少ない仲間と力を合わせて戦っていく彼女はなんとも健気。祥太郎が来る前はなしのとふたりきりで必死で生き抜いてきたんだろうなあ。
何がそこまで星良を駆り立てるんでしょうね。どうやら母上のかなり偏った教育に端を発していそうだけれど。


星良の周りには、祥太郎やなしのなど、魅力的な人物がたくさん。
『砂の王』祥太郎を主として仕える、『天空の支配者』オスカー、『深淵の王』シグネ、『薔薇城の城主』茅花姫。
それぞれ砂を操ったりドラゴンになったり、バトル前提みたいな能力で、周りが基本的に一般人ばかりのこの作品にはちょっと不釣り合いなんじゃないかと思えるほどです。
それだけに、大きな敵が現れたときのアクションはまあド派手でした。いいぞもっとやれ。
性格も三者三様で、星良や祥太郎を交えた会話は見ていて楽しいです。
個人的には茅花姫が好きですね。ふわふわした笑顔で癒されたい。あと能力。多分一番ぶっ飛んでる。
一方、星良の片腕とも言えるキャラが、代々財閥当主に仕える自動人形・なしのです。
ロボットならではといいますか、パッと見無表情だけれど実は色んな感情を秘めていたり、ちょっと言動にズレた部分があったりするところがとても可愛いと思います。
星良との主従を超えたやりとりがとてもいいですね。おしとやかに。


金持ちの世界で庶民思考の主人公とヒロインが頑張るドタバタが楽しいお話でした。
期待していたラブ分も多少はあったけれど、そちらはこれからが本番という感じですかね。
思う存分いちゃいちゃを見せつけて欲しいと思います。ニヤニヤさせてください。


イラストはぜろきちさん。金持ちオヤジの好色そうな顔つきが良かったです。
カラーピンナップはとことん肌色でした。もっとお願いします。


祥太郎一味の遍歴ストーリーも見てみたい。