まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

アリス・イン・ゴシックランドⅡ 怪盗紳士と大聖堂の秘宝

  • ストーリー

“切り裂き魔”の正体がアリスの別人格“ジル”だと知り、少女の扱いに苦悩するジェレミー。
そんなある日、彼はフランスの少年貴族ラウルと知り合う。
ネオ・ヘルファイア・クラブから狙われていると語るラウルは、ジェレミーに共闘を申し出るが……。


イグレイン可愛いよイグレイン!
十九世紀ロンドンを舞台にした探偵冒険ファンタジー第2弾です。うん、やっぱり楽しいなあ。
ところどころの言い回しがいかにもホームズっていう感じで(ホームズにはそれほど詳しくないけれど、印象として)、読んでいてテンションが上がります。
その言い回しや比喩に出てくるのも、イギリス史実在の人物だったり、場所だったりするのがとてもいい。
これはロンドンで語られている物語なんだ、という空気感が抜群なんですね。
各章ごとに用意されたキーワード解説がまた心憎い仕様。細かいところにまで気の利いたデザインだと思います。
探偵ものっぽい仕上がりながら、オカルトやファンタジーを上手く取り入れているところが楽しい。
落ち着いて考えてみると結構な無茶苦茶をやっているのだけれど、なぜか受け入れてしまえるのが不思議です。
もしかしたら、伝説のキャラクターが思う存分飛び回っているというこの環境がそうさせているのかもしれません。


ということで、1巻に続いて、イギリスの想像上の人物が次々に出てきます。
まずは、サブタイトルから予想できる彼。フランスの人物ということもあってちょっと意外でしたが、ホームズに負けないヒーローの追加は喜ばしい限りです。
ホームズといえば、かの教授の登場には驚きました。こちらもフランスの彼に負けず劣らずの重要キャラになっていきそう。
まあ、ホームズがいるとなったら、やっぱりこのふたりはいて欲しいですよね。
しかしいやはや、一気にライバルと宿敵が出揃ってしまいました。なんて豪華な面子なんでしょう。肝心のシャーロック本人とワトソンが出てきていないのは気になりますけど。
あくまで主人公はジェレミーとイグレインですから、直接話に関わってくることはないかもしれませんが、どこかで顔くらいは見せてくれるんじゃないかなと淡い期待を抱いております。


主要キャラの中では、アリス=ジルの活躍が目立っていたように思います。
1巻では冷酷な殺人鬼として描かれていたジルの内面が詳しく描かれ始めました。
我慢しながらアリスの真似をしたり、ジェレミーをからかったりするジルは、思わず油断してしまいそうに可愛らしくて困ります。
なぜ彼女は殺人を犯すのでしょうか。何か大きな裏が隠されていそうですが、未だ謎は明かされず。
マイクロフトのところに舞い込んだ情報が関係しているような、いないような。うーん、気になる。
ああ、もちろんアリスの方も実に可愛いです。これはもう、本能に訴えかける可愛さですよね。ジェレミーじゃなくても贔屓目になってしまうってもんです。
そして、そんなジェレミーに嫉妬するイグレインがまたたまらない。
ジェレミーもある程度分かってやっている風な部分がありそうで、色々想像するとニヤニヤが止まりません。


役者も揃ってきたし、闇の動きもだんだんと見えてきて、いよいよ本格的に物語が動き出す予感。
個人的には、もっとイグレインの格好良い場面が見たいですね。流石シャーロックの妹! というようなところをぜひ。お願いします。
そしてもちろん、淡い恋模様にも注目ですね。次の巻も楽しみです。


そのフォークのイラストは結構ギリギリではなかろうか。でもジルの目付きにゾクゾクするので好きです。