まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ゴールデンタイム3 仮面舞踏会

  • ストーリー

はれて彼氏彼女の関係となった記憶喪失男・多田万里と、自称完璧なお嬢さま、加賀香子。
香子とのラブラブな日々を楽しく過ごす万里だったが、過去の関係が明らかになったリンダとは真っ直ぐ向き合えずにいた。
一方、柳澤光央は一年生会の盛大な自爆のため深く落ち込んでおり……。


このカップルのいちゃいちゃがひどい。
光央を追いかけているときも残念さが際立っていた香子ですが、いざ万里と両思いになってもこれですか。
いやあ、本当に面倒くさい娘ですね! そこがいいんだけどね!
この独特のノリについて行けるだけで、万里には香子の彼氏として十分な素質があると言えましょう。
まあ万里じゃなくたって、恋に落ちたら誰でも、相手の全てが好きになってしまうのかもしれませんが。
恋をしていること自体が楽しくて仕方ない。そんな桃色のオーラをこれでもかとばかりに感じました。もうとっととパリに行っちゃえばいいよ。
恋人がいるっていいものなんだなあ。二次元くんサイドの私としては羨ましい限りです。


その一方で、恋に敗れた光央のふさぎ込みっぷりたるや。
飲み会の席で軽くあしらわれただけでこんなになっちゃうなんて、こいつら恋に全力投球だな!
まあ気持ちは分からないではないけれど、せっかく千波の方から歩み寄ろうとしてるのにそこでどうして避けちゃうのか。
なりふり構わずぶつかっていければいいのに、不器用な性格です。
あんな風に振っておきながら光央のことを心配したり話せなくて寂しがったりしている千波は全く悪女もいいところだと思いますけど可愛いから仕方ないな。
ふたりの間をなんとか取り持とうとして、憎まれ口を叩きながらも協力を惜しまなかった香子が素敵でした。やり方に意地の悪さがにじみ出てましたが。
あの飲み会では残念な結果に終わった光央ですけど、この分なら行けるんじゃないでしょうか。
酒の力を借りてではなく、きちんと素面で想いを伝えるべきですね。
考えてみれば当たり前のことなんですけどねえ。どうもこの作品のキャラは酒に頼りすぎているきらいがあって、もうちょっと真面目にやったらどうなのよと思わないでもない。


香子と甘甘生活を送りつつ、リンダからは逃げ回っていた万里ですが、ようやくこちらにも進展が。
自分のことを忘れられても一緒にいることを喜べるリンダは、登場人物の中では飛び抜けて大人だなあ。
胸の内は想像するしかありませんけど、万里と香子を見て思うところもあるだろうに。
リンダを避けていたからといって万里を責めることはできません。実際に記憶をなくしてしまっているのだから、仕方がないことです。
それでもNANA先輩の導きでこうやって話し合うことで、素直な思いを伝え合うことができて本当に良かったと思います。


そして、ああ、平穏は長くは続かないのですね……。
記憶喪失前の想い人と、記憶喪失後の想い人。
遂に記憶が戻りかけてきたようにも見える万里は、果たしてどちらを選ぶのでしょうか。
もう香子が悲しむ顔は見たくないのですけれど。次巻が待ち遠しい。


あー、万里はMなのかな?