まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京皇帝☆北条恋歌9

  • ストーリー

西園寺一斗と南徳原来珠の娘・璃々珠は、妹の衛梨珠や異母兄弟の愛斗、ゆりえ子らと共に平和な日常を過ごしていた。
ところがある日、父・一斗が突如失踪するという大事件が起きてしまう。
ショックのあまり役に立たない母たちに変わり、父を捜す娘たちだったが……。


いきなりどえらい展開に突入して、なんとも気になるところで続いてくれた前巻。
一体どうなるのか、とわくわくしながらページを開いたらそこは一転、遙か未来のお話でした。
ってもう! またこういうことしてくるんだから油断ならないなもう!


来珠と結婚しているのは喜ぶべきことだけれど、恋歌やゆかり子や四菜、フミさんとまで子供を作ってしまっている一斗さんは本っ当に節操無しですね。
それでいて実妹からだけはしっかり逃げ切っているあたり……夕鶴、不憫な子。
未来では来珠たちは登場せず、一斗の子供たちが主人公になっています。
それぞれの親の特徴を微妙に受け継いだような兄弟たち(腹違いまくり)のやりとりは、彼らの親がかつて学校で過ごした日々を思い起こさせて、妙に懐かしくなりました。
今はとてもこんな風にまったりした会話ができるような状況ではないからなあ。


一斗と来珠の二女・衛梨珠が、いなくなった父の手がかりを得るために過去へ。
一斗が怪蟲と戦い、行方不明となっている時代で、運良く夕鶴に拾われます。
こうやって一斗がいない状態だと、夕鶴は普通に優しくて面倒見のいい子で、ああ、兄さえいなければなあ、と思わざるを得ません。
衛梨珠に一斗の匂いを嗅ぎとって本気で迫り出すとか凄いな! でもそのカップリングは個人的にアリだな!
恋歌といい四菜といい、一斗ラヴァーズはどうしてこうも残念なんでしょう。まあそこがいいんですけども。


衛梨珠は恋歌を連れてさらに過去へ。遂に一斗と恋歌が再会を果たしました。
来珠やゆかり子のことを考えると素直には喜べませんが、それでも想い合う者同士が、またこうやって出会うことができたのは嬉しい。
そして同時に、元の時代へ帰ることができるという明るいニュースまで。
でも帰るということは、この時代で一斗を支え続けてきた皇妃・花恋をひとり残していくということでもあります。
やっぱり花恋も一斗にとって本当に大切な人で、まだ幼い彼女への思いと帰りたいという気持ちの間で、一斗は優柔不断なりに真剣に考えていたと思います。
ここで結局、自分で決断する前に流されてしまうところがまた一斗らしいところなんですけど。
花恋は素敵なヒロインでした。出番は少しだったけれど、印象の深さでいえば他のレギュラー陣の誰にも劣りません。
それだけに花恋の決断は切なくて寂しくて、でも彼女の強さがしっかりと感じられて、御剣の花恋評に深く頷かされました。


で、またこうなると。そろそろ頭がパンクしそうなんですが!
もう何がどうなるやらさっぱり見当が付きません。とりあえず夕鶴はいつも通りだったので謎の安心感はあります。何この精神安定剤
混乱の極みの現状をどんな風にまとめていってくれるのか、もしくは(あまり想像したくないけれど)さらなる混乱へと突き進んでしまうのか、次の巻も楽しみです。


夕鶴はヒロインとしてもかなり好きなキャラですが、そういうパンツを学校にはいて来てはいけませんね。見えたらどうするのかね!