まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜と勇者と可愛げのない私4

竜と勇者と可愛げのない私〈4〉 (電撃文庫)

竜と勇者と可愛げのない私〈4〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

アイネイアとの戦いを終え、久しぶりにレイヴェンとの再会を果たしたアンジュたち。
ところがそこに、ソーマ=サイフォスの魔の手が襲いかかる。
ソーマの一撃を受け、生死の境をさまようアンジュだったが……。


安定感ばっちり。まっすぐに剣と魔法のファンタジーをやってくれるのが嬉しい。
やっぱり、アンジュの一人称の地の文がいいんですよねえ。ファンタジーには丁寧語がかなり合うと思うのですが、どうでしょうか。
イメージとしては小さい子向けの古き良き冒険物語です。丁寧語での地の文はライトノベルでは珍しい気もしますけど、なんとなく落ち着くんですよね。


改めて、アンジュとレックスの間の絆を感じました。
夢でまでレックスとの約束を思い出すアンジュ。レックスへの思いがしっかりと心の中に息づいているんでしょうね。
レックスがアンジュを呼び、アンジュがレックスに気付いたからこそ、戻ってくることができた。
ただの旅の仲間の関係を超えたものを、そこに感じずにはいられません。それにしてもアンジュは鈍感すぎるな!
全てが終わった後でどうするのかという話は印象的でしたね。
プライドのせいか立場のせいかは分からないけれど、会いに来てほしいということばがどうしても言えなくて、落ち込んでしまうアンジュ。
こんなに可愛いのに、可愛げがないなんてとんでもない。もっと自分に自信を持ってもいいのに。まあ、そこがまた可愛いところなんですけど。
ヘタレのくせして、ここでしっかりイケメンっぷりを発揮するレックスが良かったですね。ごちそうさまでした。
まあそもそも、おんぶ、散歩、星空の下と三拍子そろったシチュエーションの時点でニヤニヤしっぱなしなわけですが!


ここにきてトモエさんが大活躍。ヒナギクとの間の因縁に決着をつけるときが、遂にやってきました。
彼女たちの出生は悲しいものだったけれど、それでもヒナギクがトモエに心を開いてくれて本当に良かった。
過去の罪は消えないのかもしれませんが、幸せを願うことは、いつだって誰だってできることなんですよね。
ソーマとの戦いは過去最大に熾烈でした。
レックスもアンジュもそれぞれ格好良かったですけど、やはりここでもトモエさんが素晴らしかったです。もはや神々しい。
気になるのはアンジュの魔法です。ここまでの強敵になるとやはり、あの魔法を使わざるを得ないのですが、それはアンジュにとってもレックスにとっても辛いこと。
その上、この魔法でさえも通用しない相手が登場し始めたとなると、この先がとても不安です。
とはいえアンジュのことですから、きっとまた見事に成長を遂げ、新たな力を得るのだと信じています。


あの人が遂にその本性をあらわしました。予想通りといえば予想通りですが。
また凄いところで続いてしまったので、気になって仕方ありません。
あの人の真意は、アンジュの気持ちは、そして何よりこれからの旅はどうなってしまうのでしょうか。次も楽しみ。


淡く光るような、トモエさんとヒナギクのイラストがとても良かったです。幸せそうで。