まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

赤い糸切れちゃうよ・・・。上巻

赤い糸切れちゃうよ・・・。上巻 (萌え萌え文庫)

赤い糸切れちゃうよ・・・。上巻 (萌え萌え文庫)

  • ストーリー

この春高校に入学した守田祐司は、夏のミステリーツアー一週間無料という企画をネットで発見する。
首尾よく当選の通知を受け取り、参加要件であるメンバー8人を集めるため、クラス中に頼んでまわることに。
自分の思い通りのメンバーを集めようと画策する守田だったが、幼なじみの絵美や隣席の竹村に邪魔されて……。


色んなところで話題沸騰中のこの作品、ようやく読むことができました。
今さら、あらすじがないとか、著者紹介がないとか、扉絵と本文イラストがないとか、そんなところにツッコんでも仕方がないけれど、予想していたよりも読める作品だったので、装丁がきちんとしていないのは少しもったいないと思いますね。
あと、ネタとしか思えないAmazonの内容紹介。広告文くらいちょっとは推敲したらどうなの。


肝心の話ですが、意外なほどあっさりと読めてしまいました。
細かいところを数え上げていけばキリがない文ではありますが、文章自体は必ずしも、それほど読みにくいというわけではないと思うんですよ。
確かに三点リーダ「…」がなぜか全部「・・・」だったり、「!」「?」の後に空白がなかったり、「〜」を多用していたり、言葉の遣い方が明らかに間違っていたりでイライラさせられましたが、その辺はどちらかというと編集さんや校正さんのお仕事のような気もする。
もちろん読みやすいというわけでもなくて、それならなぜあっさり読めてしまったのかといえば、まあ、内容が薄いっていうのが回答になるのでしょうね。
本編と思われる旅行に出かけるまで200ページくらい使ってるし、そのうちのほとんどをメンバー集めに費やしてるんだから恐れ入る。
こんなペースで大丈夫なんでしょうか。まだ何も始まっていないようにさえ思えるのだけれど。


主人公の守田は気持ちのいいくらいに外道。いわゆる駄目人間というやつ。
自分勝手でわがままだし、協調性がないし、欲望に忠実だし、すぐかんしゃくを起こして暴言も暴力も振るうくせに手のひら返しは素早いし、もうどうしようもない。いいところを探そうとしても見つからない。
ここまで自分に素直に生きているのを見ると逆に清々しくさえありますね。
自分のことを好いている幼なじみの女の子を使いっ走りにするとかもう、ひどすぎて言葉が出ません。絵美の方もかなりうっとおしいけれど、それでも流石にこれは。
この先の展開で少しは格好いいところを見てみたい気もしますが、この主人公はどうあっても成長しそうにないなあ。


とりあえず何やら妙なことが起こり始めていますが、下巻でどんな風に話を広げて、まとめるつもりなのか見当もつかない。
なんだかんだ言って、続きが多少気になり始めているのはなぜ? こんなはずじゃなかったのに。
ともあれ、下巻が楽しみだ……ということにしておきましょう。


イラストは(カバー表裏とカラー2枚しかありませんが)とばりさん。
カラーピンナップの背景の小物に一種の狂気を感じます。そしてそれが作品に合っているんですよねえ。
下巻では本文イラストも描いてほしいけれど、あまり期待はできないでしょうね。


一応萌え萌え文庫カテゴリーを作りましたけど、この上下巻2冊だけで終わるんじゃないかと不安。