煉獄姫 三幕
- 作者: 藤原祐,kaya8
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: 文庫
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- ストーリー
螢国公式第一王女マーガレットの婚約者である悳国王子ディードが、外交のため来訪することになった。
両国は緊張状態にあり、王子の暗殺計画すらもが囁かれる中、螢国王家は『レキュリィの宴』に協力を仰いだ厳戒態勢で挑む。
フォグとアルトは、王子を歓迎するため開催される夜会の警護役として任命されることになったが……。
老執事萌え!
ということで、カルブルックさんは安定の格好良さ。
強い老人はやっぱりいいですよねえ。こう、長い人生でつちかった経験を活かして油断している若者たちを寄せ付けない様が、最高にいかしています。
そして今回は彼だけでなく、その主人であるレキュリィも大活躍。流石表紙に抜擢されただけはありますね。
国の暗部から全てを見て、思惑通りに操ってきた彼女の本当の凄さが垣間見えました。
奥の手を最後の最後まで隠しておくのはヒーローの基本ですよね。戦い方はとてもヒーローとは思えませんが!
一方のフォグ。マーガレットを振ってアルトに嫉妬させて、なんとまあ罪な男でしょうか。
リチャードからは重宝がられているし、つくづく王家との相性がいい主人公ですね。貴族との相性は最悪に近いですけど。
アルトを守るということが全てであるフォグの気持ちも分かりますが、今回はちょっと、マーガレットが可哀想に思えました。
王女とはいえまだ少女、年上の想い人からそっけなくされて、傷つかないわけがありません。いつかきちんと向き合って話を聞いてあげるべきですね。
アルトとマーガレットの関係がどうなっていくのかも気になるところ。
アルトはマーガレットのことを知っているけれど、マーガレットはアルトのことを全く知りません。
そしてアルトも、妹というものがどのようなものなのか、本で読んだ知識しか持っていない。
そんなふたりが、遂に顔を合わせるに至りました。まだそこには姉妹愛などというものは存在しないかもしれませんが、それでもお互いのことを目にすることができたのは、大きな前進に思えます。
マーガレットが自分の姉の存在を知ってからが物語の大切なポイントになりそうです。
とはいえ王家やフォグが邪魔に入りそうだし、いつになるか見当もつかないのですが。
それにしてもユヴィオールはいい悪役ですね。色んなところに現れて種をまいていき、次々に花を咲かせていく。
裏主人公と言ってもいいくらいの暗躍っぷりを見せながら、どことなく漂う小物感には妙に愛嬌が感じられます。
やっていることは非情極まりないので、好きにはなれませんけど、これくらいかませ犬臭のする敵もいいものだなあと思いました。
最後にまた新しい一手を得たことで、次はどのようなことをしでかしてくれるのか、楽しみです。
なんとも言えぬ表情をしたマーガレットのイラストがとても良かったです。信じられないものを目にしているような視線にぞくぞくしました。