まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ランジーン×コード tale.3 禁じられた記憶

ランジーン×コード tale.3 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.3 (このライトノベルがすごい!文庫)

  • ストーリー

不破からの突然の依頼を受け、<録号>というコトモノの少女に会いに行くロゴと由沙美。
依頼は、記憶に長けるコトモノである彼女から、ロゴの母親・凛子が記した「リンコノート」の情報を引き出してほしいというものだった。
ところがノートに触れた瞬間、ロゴのコトモノ・ダリに異変が起こり……。


安定の重量感。もちろんどっしりした設定が主な理由だけれど、それ以外の部分でもどこか読みにくさを感じます。
せっかくバトルがあるのだから、もっとスピード感たっぷりの派手なドンパチが見たいなあ。


全体的に好意の持てるキャラが少ないんですよね。
特にロゴはあまりの自分勝手さで見ていられません。そりゃあ由沙美も怒るよ。
まあ自ら危険に飛び込もうとするのはいいとしても、「自分だけでもきっとなんとかなる」っていうその無責任な自信はどこから来てるんですかね。
仲間を巻き込みたくないってのは立派かもしれないけど、仲間を信じて力を借りる選択に目を向けるくらいはして欲しい。
ひとりで勝手に突っ込んでいって、勝手に殺されかけて、結局誰かが追いかけてきて助かるって、ちょっと主人公としてはいただけないかなと。
あとキツネ。命がギリギリ助かったところだというのに、なぜそこでロゴを殴る。
いやいや、目の前の敵をなんとかするのが先じゃないですか!? 生き様とかそういうのも大事だけどね、とりあえず安全を確保してからにしましょうよ。必死で戦っている仲間に手をあげてどうするのよ。
とにかく主人公をはじめとした一同は、信念にがんじがらめにされすぎて、よく分からないところで感情を爆発させているような気がします。
コトモノじゃない私には結局理解出来ない気持ちだということなのでしょうか。ちょっと寂しい。


そんなキャラたちの中、由沙美の分かりやすさとまっすぐさに癒されました。
だんだん彼女の地が出てきていて、年相応の愛らしさを存分に発揮しています。
コトモノでありながらコトモノを拒絶する少女・芽衣との、不器用ながらも微笑ましいやりとりがとても良かったですね。
ムジカとの二重人格(?)もあるし、とてもおいしいヒロインに成長してくれそうな予感。
きっとこれからさらなる活躍を見せてくれることと思います。
小学6年生ということもあってあまり期待していなかったのですが、今回怪しげな雰囲気を醸し出していたし、もしかしたらロゴとの本気の恋愛なんかも……!


ラストで遂にあの人の影が。この見開きイラストはずるいと思います。分かっててもぞくぞくしますね。
この人がロゴと出会うことで、どのような化学反応が起こるのでしょうか。今までの暗躍っぷりを考えると実に楽しみ。


あとがきの後に短編「ジンジャー/ランダム/トラベラー」が掲載されています。
本編とは関係の無いキャラのお話ですが、表面の明るさとは裏腹にしんみりとした切なさが漂っていて結構好き。次の巻でもあるといいなあ。