まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

それがるうるの支配魔術 Game1:ルールズ・ルール

それがるうるの支配魔術Game1:ルールズ・ルール (角川スニーカー文庫)

それがるうるの支配魔術Game1:ルールズ・ルール (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

入学式の朝、《理操魔術》を操る“世界災厄の魔女”こと水那斗るうるに出会った犬海丸。
魔術のことには全く詳しくない丸だが、なぜか知らぬ間にるうるの魔術を破ってしまう。
それがきっかけで丸は、学園にいる間じゅう、るうるに付きまとわれることになり……。


世界の《理》を書き換える魔術、《理操魔術》をめぐる学園コメディ。
パズルとかミステリーの要素もあって、とても楽しく読めました。


まず、理操魔術という設定がユニークですね。
空を飛んだり水を操ったりというのは一般的な魔法と同じですが、違うのは、人の常識や認識まで変えるということです。
その「場の《理》」を書き換えることで、たとえば「水が宙に浮くのは当たり前のことだ」という認識が周りの人に生まれてしまう。
魔術で不思議を起こしているのに、誰もその不思議に気付かないっていうのが面白い。
ところが、なぜかこの「場の《理》」に支配されず、魔術を見破ってしまえるのが、主人公の丸(たまき)です。
しかも丸は、その書き換えられた《理》を指摘することで、かけられた理操魔術自体を打ち消してしまう力を持っています。
どこか何かが魔術によって変えられている。魔術を破るには、その「どこか」「何か」を当てる必要がある。
簡単に言えば魔術師相手の間違い探しゲームですね。どこがおかしいのかを探したり考えたりするのが楽しいです。


ヒロインの天才魔術師・るうるは、ぽやぽやした天然の女の子。いつも無表情なのに時たま見せるとびきりの笑顔が実に可愛らしい。
世間からずれた突飛な行動を連発してますけど、どれも素直で子どもっぽい愛情表現で、見ていて微笑ましくなりますね。
地球上でも最強に近い(らしい)るうるの魔術は、やろうと思えば、全世界の人間の認識を変えてしまいます。
誰も、るうるが魔術を使ったことに気付かない。それは便利な力かもしれないけれど、ひとりの少女にとってはとても孤独なことでしょう。
そしてそこに、自分の魔術に気付いてくれる丸が現れた。
とある理由から人との関わりを避けてきたるうるですが、もともとはみんなでゲームをすることが好きな、明るい女の子です。
丸との出会いは、それはもう、彼女の生き方を変えてしまうほどに、嬉しいものであったに違いありません。


気が強いけれど優しい魔術師の女の子・御剣言乃や、女の子にヘラヘラしているけれど不思議と憎めない友人・碓氷圭次など、仲間たちも魅力的。
オリジナルのゲーム「Rule's Rule」をはじめとしたアナログゲームの数々にもわくわくします。ちょっとやってみたい。
物語はまだ始まったばかりで、明かされていない謎や伏線もちらほらと見受けられるし、何より、丸とるうるの仲がどうなっていくのかにも注目ですね。次が楽しみです。


イラストはさくらねこさん。るうるのふわふわ感が素晴らしい。なでたい。
「あーん」の横顔には悶絶しました。


序盤しか目立っていなかった従姉妹も次は活躍してくれるのかなあと希望的観測る。