まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

伝説兄妹3! 妹湯けむり編

伝説兄妹 3! (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)

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  • ストーリー

突如失踪した大塚を追って竜首村にやってきた柏木たちを迎えたのは、たくさんの幼女とロリコンの集団だった。
村では“妹”をテーマに村おこしをはかる幼女軍団が覇権を握っていたのだ。
大塚を連れ戻すため、幼女軍団と対立する村人たちと行動を共にする柏木だったが……。


今までも凄かったけれど、ある意味一番しっちゃかめっちゃかな巻でした。しかしそれがいい。
ドタバタここに極まれりといった感じの暴走っぷりが楽しいです。


いなくなった友人を追って迷い込んだのは幼女で溢れかえる村。
まずこの時点でだいぶおかしいのに、幼女と選挙で争ったり、ヤクザみたいな幼女が地上げ要求に来たり、もうわけが分かりません。
これまでは柏木の欲が災いしてパニックに陥ってきたわけですが、今回に限っては純粋に巻き込まれただけなんですよね。
もっとも柏木自身も成長しているようで、金や女になびかなかったり、ちゃんと友人である大塚のことを心配していたりと、わりといいやつに見えました。
ちょいちょい村人から持ち上げられて有頂天になっていましたけど、まあそのくらいはね。
それどころか道を踏み外しかけた大塚やデシ子を説得なんかしちゃって、まるで常識人であるかのように! そんなわけはないんですけど、周りが周りだからなあ!
コトノハムシのコントロールもさりげなく上達していて、すっかりヒーローです。1巻の頃を思い返すとちょっと不思議な気分。
やっぱりデシ子との出会いが大きかったんですよね。
地に足の着いた考え方ができるようになったと思います。今回も最後までいい「お兄ちゃん」でした。


一方のデシ子は幼女のボスにそそのかされて、柏木と対立。
チヤホヤされて自分のことが見えなくなっている様子はかつての柏木を見ているかのようでした。
あれか、義理の兄妹でもやっぱり兄に似てしまうものなのか。
まあデシ子の場合、柏木の気を引くことが(当初の)目的であったりもするので、そんなところはちょっと可愛いですよね。


幼女と村人・神と人間との対立、数々の裏工作、そして全面対決を経て、最終的に兄妹喧嘩に落ち着くのがまた、この作品らしいところ。
しょぼいと言ったらそれまでで、色々あっても結局は柏木とデシ子が物語の中心なんだということをしっかりと確認させてくれました。
本当の兄妹ではないし、かといって恋人でもないし、微妙な関係の2人だけれど、なんとなく温かいものが間にある、素敵な「兄妹」だと思います。
あとがきによれば「今巻で一段落」ということですが、いつの間にかかなり好きな作品になっていたので、これで最終巻ならちょっと寂しい。
もし続きがあるなら喜んで読みますが、新作が出るならそちらも手に取ってみたいと思います。どちらにしろ楽しみ。


果たして大塚は元の生活に戻れるのでしょうか。彼が一番心配です。