まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ベン・トー7 真・和風ロールキャベツ弁当280円

  • ストーリー

ひょんなことから未曾有の経済危機に陥り、半額弁当さえ買えなくなってしまった佐藤洋
二階堂の紹介で元狼の山乃守と出会った佐藤は、彼から、女性を口説いて貢がせる方法を学ぶ。
伝授された技を早速白粉に使ってみる佐藤だったが……。


いきなり半額弁当が買えなくなるという、スーパーの戦い以前の大問題。
もしかしたらラスボスは佐藤父なんじゃないかと常々思ってきたのですが、予想外のところで本領を発揮してくれました。
《ガンコナー》こと山乃守から習ったヒモテクニックを用いて佐藤がターゲットに選んだのはなんと白粉大先生。
話術で白粉を落とし、まんまと食べ物をせしめたとほくそ笑む佐藤ですが、その実見事に白粉の手の平の上で踊らされてしまっているわけで、滑稽というか不憫というか。
最初からクリーチャーに挑んだのが間違いだったんだよ! なんでそこに行っちゃったのかな!
ソッチ方面のネタがこれ以上ないくらいに盛り込まれていて1章だけでかなりの満腹感。間違った方向に全力で突き抜けているこの感じがたまらなく好きです。
何がどう転がるか分からないもので、なぜか白梅様の自宅イベントが発生。
白梅様は地味に毎回ポイントを稼いでいらっしゃるけれど、まさかの白梅様エンドも、うん、ないよね。


修学旅行で槍水先輩が不在の中、やって来たのはかつてのハーフプライサー部員・烏頭みこと。
ハーフプライサー部解散の原因にもなったらしい彼女の策にはまり、佐藤はスーパーから遠ざかってしまいます。
嫌いな人から目を背け、戦いから逃げ回り、うじうじと悩み続ける姿は、何も考えず敵にぶつかっていった今までの佐藤とはかけ離れ、とてもじれったく感じました。
そんな彼に手を差し伸べてくれたのは、仲間であり敵でもある、スーパーでの友人たち。
あの《魔導士》でさえ佐藤を止め、本人も諦めてしまっていたのに、その佐藤に狼の本質を改めて気付かせ、スーパーへと走らせた沢桔姉。
鏡もいい子ですけど、やっぱりこの素直でまっすぐで、計算なんて全然できないような梗を好ましく思うし、そのことばには胸を打たれます。
オルトロス》だけではなく、茶髪や坊主や顎髭、二階堂にウルフヘアなど、レギュラーの狼たちがいちいち格好良かったです。
特に最後の茶髪なんてイケメンすぎて困る。なんという影の主人公っぷり。惚れぼれしますね。


陳列棚の前での迫力のアクションと、食べ物の異常なほどの美味しそうな描写はいつも通り。
ロールキャベツ弁当にも心惹かれるものがありますけど、個人的には白梅様宅のキムチ鍋がですね。
あと単純に焼きコンビーフってのもまた実に……ああ、腹の虫が。


今回は槍水先輩がほとんど出てこなかったので、次は先輩の活躍が見たいです。
ラストで名前が出てきたあの子の再登場なんかにもちょっと期待。


それにしても、遂にこの作品までアニメ化ですか。白粉先生とセガのネタをどこまで再現できるのか、ギリギリまでやりきってもらいたいですね。