まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕たちは監視されている ch.2

僕たちは監視されている ch.2 (このライトノベルがすごい!文庫)

僕たちは監視されている ch.2 (このライトノベルがすごい!文庫)

  • ストーリー

配信によって傷ついた少女・羽田夕菜と仲直りしようと、病院に向かった一行。
ところがユイガの面会は拒絶され、花束も突き返されてしまう。
ユイガのため、祭たちはあれこれと頭を悩ませるが……。


1巻ではあまり描かれなかった、IPI症候群:クローラ患者の苦しみが明らかにされました。
一度クローラだと診断されてしまえば、もう二度と今までと同じ生活は送れません。
自分がクローラなのではないかと恐れながら、それを必死で隠して日々を過ごす少女。
友人に検査を勧めつつ、そうでないようにと祈る仲間たち。
コンテンツである祭たちの側から見ていると忘れがちになるけれど、やっぱりクローラというのは大変な病気なのですね。
自分ではどうしようもなく、願うことしかできず、それでもやっぱり避けられなくて、いざその時が来たら、愛する人たちと離れなければならない。
友達になりたかった女の子と、拒絶することしかできなかった女の子。2人のすれ違いが切ないです。
周りはみんな優しいのに、運命ばかりが優しくなくて、やるせなさを感じずにはいられません。
だからこそ、最後のユイガのことばが響きました。
すれ違い続けた相手へのことば。あの形容詞をここで使ってくるのはずるい。胸がぎゅっとつまります。
彼女にもきっと届いたよね。


ストーリーとは直接関係しないところでの、友達同士の何気ないやりとりがたまらなく好きです。
中身のない会話って友達ならではのことだと思うのですが、どうでしょう。
こういうのをガールズトークっていうのかな。まあ1名ほどガールじゃない子がいるけれども。
ユイガはもちろん、あの統子が祭たちとここまで打ち解けられたのだと思うと嬉しくなってしまいます。
祭は誰よりもまっすぐだし、一葉はおちゃらけているようでみんなのことを考えているし、楠見は変態だけど友達思いだし、本当にみんないい子ばかり。
今なら恥ずかしげもなく言える。ああ、青春って素晴らしい。友達って素晴らしい。
改めてそう思わせてくれる素敵な作品だと思います。次も楽しみ。


神様ジャンケン、なかなか面白そうじゃないですか。流行らないだろうけど。