まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

GOSICKⅥ―ゴシック・仮面舞踏会の夜―

  • ストーリー

<ベルゼブブの頭蓋>から辛くも脱出し、豪華列車<オールド・マスカレード号>に乗り込んだヴィクトリカと九城。
同じコンパートメントに乗り合わせたのは、<死者><木こり><孤児><公妃>と仮の姿で名乗る、奇妙な乗客たちだった。
巻き起こる事件、そして列車は不気味な闇の中、暴走を始め……。


5巻から直接つながる、ヴィクトリカと九城が学園へ戻るまでのお話です。
第一部で描かれるのは、帰りの列車で起こった殺人事件と、その列車の暴走の顛末。
そして第二部で、3人の容疑者の証言と共に事件を振り返り、謎を解いていくという流れになっています。
私自身はミステリに詳しくないので勝手なイメージなのですが、わりと本格的な推理ものっぽい構成なのではないかと思います。
どこか不自然な乗客それぞれが持つ2つの顔や、容疑者たちの妙な証言の内容に惑わされました。
誰が犯人で、どこに嘘があるのか。隠された秘密はどのようなものなのか。
今までこの作品によくあったような、オカルトチックな怖さではなくて、どちらかといえばミステリとしての、ゾクゾクとする怖さが味わえますね。


またつまらないことで喧嘩してしまうヴィクトリカと九城。
ヴィクトリカは言葉が足りないし、九城は気遣いが足りないからこういうことになるんですよね。どちらもお互いのためを思ってやっていることなんですけれど。
それでもいざという時はしっかりとした絆を見せてくれるのが、さすが名コンビというところ。
まさか九城に映画スターのようなアクションシーンがあるなんて。普通に格好良くて困る。
秀才ゆえに腕っ節は弱い印象がありましたが、意外とやるものです。それともヴィクトリカへの強い気持ちが力になったのかな。
一緒に拳銃を構える場面は、2人の心が一緒になったという感じがあってとても好きです。イラストの影響も大きいですね。


全てが終わった後、ヴィクトリカが少しだけ、九城への想いを明かしてくれます。
愛を知らなかった灰色狼が、東洋人の少年と接することで得たものは、果たして。
というかもう、自然に手を繋いでいたり、見つめ合っていたり、もういい加減くっついちゃえばいいのに、と思わないでもないですね。
まあ、それでこそのこのコンビというか、ニヤニヤできるので満足なんですけれども。
一弥の方はどうも、少しだけ、意識し始めているような気がします。あとはヴィクトリカの方か。うん、難題ですね。


ブロワ警部の髪型は元に戻るのかな?