まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

GOSICKⅣ―ゴシック・愚者を代弁せよ―

  • ストーリー

いつものように退屈していたヴィクトリカは、かつて学園に存在したという錬金術師の回顧録を発見する。
本の中で錬金術師に挑発された彼女は、秘密を暴いてやろうと本気になるのだった。
その頃一弥は、学園内の古めかしい時計塔で、人が倒れているのを発見し……。


珍しく図書館塔から下りてきたヴィクトリカが、学園の伝説となっている錬金術師の謎に挑む。
今回もオカルトめいた、幽霊のしわざとしか思えないような出来事が次々に起こります。
そこら中に散りばめられた混沌の欠片が、ヴィクトリカのことばによってカチリカチリと論理の枠にはまっていく様子は、何度味わっても爽快なものですね。


ヴィクトリカの新しい顔がちらほらと見られました。
回顧録の挑戦に奮起する姿や初めてアブリルと出会って人見知りする様子は年齢に見合ってとても可愛らしかったですね。
特にアブリルとの対面のときは、意外といい雰囲気だったのではないでしょうか。
一弥と一緒とときのアブリルはどうも好きになれないのですが、ヴィクトリカが相手だと人の話を聞いてるし、顔色をちゃんと見てるし、実は礼儀正しくていい子なんだということが分かります。
恋敵ということでなかなか打ち解けるのが難しいかもしれませんけど、友達になれたらいいな。
ヴィクトリカにだって同姓の友達がいてもいいと思います。相性は悪くないような気がするんですよね。


一弥はいい奴なんだけど、どうもいけ好かないところがあるよなあ。
何があってもヴィクトリカを守るっていうのは、王女に仕える騎士みたいで格好良いのですが、王女の気持ちを全然分かってあげないと。
挙げ句の果てにアブリルに指摘されてるんじゃどうしようもない。
自分のことを妙に高く見ているのも気になります。戦前の「日本男児」なんてこんなものだったのかもしれないけれど。
まあ、ヴィクトリカはそんな一弥の強情さを気に入っているみたいですけどね。


ヴィクトリカがなぜ学園に閉じ込められているのかという秘密が明らかになり始めました。
謎めいた奇術師・ブライアン・ロスコーも本格的に話に絡んできて、いよいよヴィクトリカ、すなわち最大の謎に、物語が迫ってきたのを感じます。
一弥はブロワ侯爵の思惑からヴィクトリカを守り抜くことができるのか。楽しみです。


武田日向さんのイラストが素晴らしかったです。ごろごろヴィクトリカとかもうたまりません。どこかに売ってないの? この際ぬいぐるみでもいいんですけど。
あと、髪を下ろしたブロワ警部のイケメンっぷりに噴いた。