まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ダンタリアンの書架6

ダンタリアンの書架6

ダンタリアンの書架6

  • ストーリー

恩師マクギガンに呼ばれ、ダリアンを伴ってレイサム群島に渡ったヒューイ。
マクギガンはダリアンに姪のリーシアの友人になってもらえないかと思って、彼らを呼び寄せたのだった。
一方、島では伝説の海魔による連続殺人事件が噂されており……。


毎回それぞれの短編で違ったわくわくを届けてくれるこの作品。
今回は特に第三話「人化の書」が良かったです。
相変わらず慇懃無礼なダリアンと、人見知りで口がきけない少女・リーシアとの交流に胸が温かくなりました。
普段のダリアンは本さえあればあとはどうでもいいとでもいうような態度を見せていますが、心の底では他人を求めているような雰囲気がある。
時々そんな様子が垣間見えて、可愛いと思うのと同時に切ない気分にさせられます。
彼女に比べてずっと短命な人間と、あまり深い関係になるのが怖いのかもしれません。実際に彼女はウェズリーを失っているわけだし。
ヒューイが危ない目に遭ったときにひどく心配するのも、そんなことが関係しているのかなと思います。
そのダリアンが、見た目は同じくらいの年齢の少女と友達のようなやりとりを交わしている。
なんとなくほっとして嬉しくなりました。


第四話「楽園」の主人公は焚書官ハルとフラン。
なんと舞台が「人化の書」と同じ島で、同じ人物が登場してきます。
ヒューイたちと直に接触してはいないのですが、時系列としてもほぼ同じ。
ひとつの島で起こった別々の事件が妙なところでつながっていて、その両方に別々の読姫が関係するという趣向ですね。
予想外で面白かったです。ヒューイとハルのすれ違いも楽しい。


恒例の断章は2本でした。
いつも通り味わい深くてとても好きですね。本編より楽しみにしているかもしれません。
断章ニ「本当の私」は、最後の台詞に何とも言えぬ毒があってお気に入り。
本も読みようによっては怖いものです。


カラーピンナップのフランも素晴らしいけれど、今回のベストイラストはサマードレスにツインテールのダリアンで決まり。
可愛すぎます。ぜひアニメで見たい。