まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき

ストーリー
会長の鶴の一声により、文化祭で執事喫茶を営むことになった「迷わない子ひつじの会」。
その準備に追われているところに、演劇部から新たな依頼人が現れる。
その内容は、文化祭で演じる予定の時代劇で、敵役が用いる必殺剣の正体を暴いてほしいというもので……。



巻が進んで、キャラが深く描かれていくごとに、どんどん面白みを増してきている今作。いやあ、堪能させていただきました。
今回は文化祭のお話ということで、今まで登場してきたゲストキャラがぞろぞろと再登場。ぶっちゃけほとんど覚えてません!
この作品、1話ごとにぶつ切りになっているようで、意外と前の巻で出てきたキャラをまた持ってくることが多くて、そのたびに既刊をひっくり返すはめになるんですよねえ。特に「鹿野」さんには参ってしまうのですが。
まあ、こればかりはキャラを忘れてしまっているこちらの方が反省すべきですね。キャラを使い捨てにしないのは素晴らしいことです。


依頼と解決と第二の解決(なるたまの暴走)。わりといつものノリに近い第一話があって、文化祭当日のお話は第二話から。
あの会長のことだからただでは終わらないとは思っていましたが、真一郎メイドできましたか。本人はひどく嫌がってるけれど、女装メイドくらい文化祭ならそこら中に溢れかえっていそうなもんですけどね。
いいじゃないですか。ちょっと危険なくらいに可愛いし。イラストは偉大です。
いやいや、そんなゲテモノメイドはほっといてですね。やはりここは佐々原ですよ。この圧倒的な愛らしさ、人気が出るのもさもありなんというもの。
で、そこであたかも彼氏であるかのごとく、佐々原に近づく男を追っ払ってるゴキブリさんは一体なんなんでしょう。
仙波ひと筋かと思っていたけれど、やっぱり佐々原と一緒にいるのは自分だという自負があったんですかね。ちょっと珍しい出来事だったこともあってニヤニヤしてしまいました。揺れてますねえ、真一郎さん。
ふたりの行く先々で真一郎の扱いがひどくて噴いた。基本的に女性の評判が悪い主人公です。
女の子に尻に敷かれ、下に見られ、鼻で使われてこその真一郎だと思うので、彼としてもきっと本望ではないでしょうか! ああ、芳花さんがドギツくて素敵。
挙句の果てに佐々原まで。なるたまよ、自分では分からないかも知れないが、君は今誰よりも幸せな状況にあるんだよ。


真一郎と佐々原がふたりでわいわいやっている間も、仙波は安定の別行動。
モノローグで何度も繰り返される真一郎への罵倒で、本当に彼を毛嫌いしている、と「本人が思っている」ことが分かりますが、それはつまり、ずっと真一郎のことを考えていたということでもありまして。
真一郎に関わっていないから幸せな日、なんてうそぶいているけれども、さて、その本心は、神のみぞ知るというところですか。
本当にかたくなで、殻に閉じこもるために自分をだましているようにさえ思える仙波。
そんな彼女ですから、ほんのちょっとしたひと言の破壊力がもの凄いのですよね。もし他のキャラが言ったのなら、別にどうということのないひと言かもしれないけれど、他でもない仙波の口から放たれると……うおおおお! 溢れる妄想が止まらん!
なんというか、ありがとうございました。私、もう満腹です。


佐々原と仙波のことでテンションが上がりすぎておりますが、毎度の謎解きも楽しかったです。
特に文芸部文集に載せられた『々人事件』の秘密は、なかなかぞくっとするものがありましたね。
さて、会長と東原さんの会話によれば、次回の舞台は雪山? ということで、また面白そうな謎が出てきそうなシチュエーションではありませんか。
新たな謎、移り変わってゆく人間関係、いじめられっ子真一郎、どれも本当に楽しみ。次巻も待ち遠しいですね。


誰か登場人物一覧作ってくれませんか。